被害届
こんなこと初めてです
私はあなたを許せない
バスが繁華街から離れ
残された私たちに同じ感情が走ったのを感じました
それを確かめるように
あなたは人懐こい笑みを浮かべます
――どこまで行くの?
――なんだか夢に迷い込んでしまったみたいだね
そんなような
出会いは唐突でも私の印象に残って
深いところに住みついてしまいました
ほんとに初めてのこと
甘い妄想がゆらゆらと立ち込めてきて
現実の席に据えられる
もう一度二人だけの世界へ連れていって
どうしてこんな想念を抱いてしまうのでしょうか
あなたが思わせぶりな笑みを向けてくるから
私は被害届を出します
恋に落ちた私は悪くない
心を奪ったあなたの罪
愛を返して
被害届