そうだインドに行こう。

今から20数年前の薄れ行く記憶をここに記す。

旅立てず。

今から二十数年前のお話。
高校を卒業し 地元の会社に就職したものの
バブル崩壊の波を受け 業績悪化による残業代のカット それでも続く長時間労働に当時の上司が
バタバタと退職。
このまま居残ると大変な責任、仕事量を押し付けられると 恐怖にかられ 丸二年で退職。
思い返すと 今で言うならブラック企業。
「超」を付けたくなるレベル。
実際 設備工事業界は 今も昔も
暗黒世界ですが・・・。

退職後、
とりあえず 労災貰うか
そう考え 「しばらく のんびり生活しよう。」
と、思ってみたものの 生来の落ち着きの無さに加え 毎日毎日忙しい日々を重ねて来た自分。

かえって 落ち着かない。
ボーっとしてられない。
じっとしてられない。
つまんない。

余談ですが 風呂で浴槽に浸かれる時間は
せいぜい10秒。 長く浸かる為に浴室に本を持ち込む始末。

そんな性格で退職して
たいした 日数も空けず
学生時代にバイトしていた飲み屋で 再度 お世話になるコトに。

バイト先のビルで
夏場はビアガーデンを営業していまして
その他建物内のお店の手伝いをしながら
夏はビアガーデンをメインに仕込みから 営業中は主に厨房で働いていました。

飲み屋で働き
一日が終われば
飲み屋で飲み
学生時代以降 縁の無かった自堕落な生活を満喫していました。

8月も半ばを過ぎ気温と来客数が減りだして
ビアガーデンの閉店日を会社が決めた時

1つの考えが頭の中を駆け巡りました。
「旅行にいこう。」

せっかくある程度 自由な生活しているのだから 今がチャンスだろうと
そして どうせなら海外だろうと。

信仰心皆無なくせに
神話や仏像が好きだった自分。
当時 迷ったのは ギリシャかインド


悩んだ末に
「今のはマイブームはヒンドゥー教だぁ!」
と 少々の思考時間を使いつつ
行き先をインドへと確定させたのです。

しかし、この選択が かなり面倒くさいコトに繋がって行くことになろうとは予想だにしませんでした。

目的地は決まり
後は旅立てばいい!
って訳には 勿論いきません。

幸い パスポートは持っていたのですが
低学力な学校の卒業生で
英語など理解できる訳もなく
アルコールが入らない限り 基本的に人見知りな性格。
バックパッカーに憧れはするものの
手堅くツアー申し込みを選択します。

当時 無名だった旅行代理店。
今では誰もが知るであろう会社ですが
当時は他の大手と比べて かなり料金に差がありました。

男1人で行くのだし
ホテルの豪華さも飛行機の快適さも一切 気にしません。

代理店も決め
パンフレットで希望のコースを決め
さぁ、準備万端。いつでも行けるよ?。
なんて感じでしたが
ここで1つめの・・・
いえ 最大最高の問題が起きるのでした。


当時 インドで ペストが大流行してしまったのです。

代理店のツアー開始条件として
『申し込み人数2人よりスタート』

申し込みから 丸1ヶ月。
他に申し込みする方 皆無。

旅立てません。(泣)

代理店と 連絡取り合う中
『予防注射はお済みでしょうか?』

は?

勿論 してません。
いいえ 考えてもいません。
初耳です。

「それは どこで やれるんですか?」
と 質問するも
『さあ~?保健所か大きい病院だと思うんですが・・・』
とりあえず 地元の保健所と大きな病院数件確認するも ペストの予防接種するトコは見つかりませんでした。

この面倒くささが他の申し込み者が増えない理由か?

注射は射てない
ツアーも動かない。
自分にどうしろと?(泣)

数日後
代理店から連絡があり
『一応、基本の金額に〇万円プラスしていただければ お一人様でもツアー動かせるんですが?
どう いたしますか?』

行きます。
行かせて下さい。
行かせろや!!

そんな こんなでインドへ ようやく旅立てる時を迎えるのでした。

そうだインドに行こう。

そうだインドに行こう。

思い立ったが吉日・・・とも行かない 若かりし頃の思い出話。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-05

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted