万華鏡のイレモノ

球体の内側
命を万華鏡の中に
閉じ込めて
何にでも成れるよ
色々なモノに成れるよ
声はする
枝の無い木は
上にしか進めない



斜めにいって
真っ直ぐに
斜めにいって
真っ直ぐに
遠くから見れば
歪な形
美術館前のモニュメント
飲みきりサイズの
缶コーヒー
「丁度良い」なんて
泣く泣く言ってるんだ



コインランドリーの回転
一緒に廻りたいから
ビール片手の待ち時間
あと10分
カウントダウンは
何に対してだろう
脚を組み替えても
靴を片方飛ばしても
座る位置は同じ場所



片道15分の道のりは
いつしか
当たり前になっていて
あそこに烏とか
あそこはカレーだとか
意味もなく反応して
頭の中だけで回って
ゆっくり帰って行く
アパートの二階



鍵を開ければ
僕のナワバリ的匂い
無味無臭のお宅は無い
人が居ても
居なくても
人が作ったモノには
匂いが張り付く
テレビのリモコンと
スマートフォン
座る位置は
やっぱり同じ



落ち着くから
ここなのか
仕方ないから
ここなのか
何となく
ここなのか



変化が無いって
不満は当たり前で
同じ場所に座るなら
同じで
同じ場所の違う所でも
同じで
廻る事は
同じ場所に辿り着く為
じゃなくて
違う場所に辿り着く為
何だろう
全て吹き飛ばして
違うのを入れよう
こんな図柄じゃ
廻しても
満足できないから

万華鏡のイレモノ

万華鏡のイレモノ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-04

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