おすすめ！読んでおきたい名著シリーズ　藤原智美さん著　～暴走老人～

　この世にはびこる暴走老人。それにしても多すぎやしないか？と、痛感する昨今。

　い、いかん・・・。
や、ヤバイよマジで・・・。

　始まりました『おすすめ！今更名著シリーズ』。
名著、とは言っても古典文学作品ではありません。
新刊ではない程度の書。これは読み忘れていたなぁ～、でもタイムラグは感じないね、なんて思える書。
私がそれを読んで興奮のあまり前後不覚になった書だけを身勝手に紹介します。
　今回は、藤原智美さんの
”暴走老人”です。

　もちろんすでに読まれた方も多いと思います。
遅ればせながら読ませて頂きました。
　正直、今になって痛感するのです。こんなにもこの世の中には暴走老人が多いのかって。だから読み（忘れていた）ました。
　最初に出てくる事例があります。それは、７０歳と８０歳のお年寄りがお店のたばこの自動販売機前にて・・・、というもの。
そう言えばそんな事件あったな。当時、その事件の真相を知った私はこう思ったのを覚えています。
　”どちらの気持ちも分かる”
というものでした。で、もう一つ思い出した事があります。それは、事件現場が、
　”私の住まいから車で３分の場所”という事実。
もちろん買い物にも行く。つまり”ド近所”なのである。
　まぁ、近所だからどうという訳ではない。私にとっての問題は、筆者が挙げておられた事例の数々。
いや、その内容が問題なのではなく、
　――――全ての暴走事例が私にも当てはまる・・・、という、衝撃の事実。
まるで、前ぶれなく連れて来られた病院受診で、適性検査の結果突如として閉鎖病棟に入院させられたかの様な心持ちになったのです。
　一応ことわっておきます。
私、まだ老人ではありません。老人と呼ばれるにはまだかなり（個人差があります）の年月を過ごさなければなりません。
つまり、この若さ（表現の自由）で、私は紛れもなく暴走老人なのです。
　落ち込んでいても仕方ない・・・と一念発起したのは間もなくの事。
私は”いつから暴走老人と化してしまったのか？”を自分なりに検証する事にしました。
きっとそこには何かしらの原因があるはずです。そしてあわよくば自分を暴走老人から解き放とうという期待を持ったのです。
そこで私は最近から幼少時まで遡る事にいたしました。そうだなぁ、最近はどんな事があったっけ・・・。
　・日が落ちた町中での車の運転中、ビームにしたまま運転していらっしゃる車を発見。注意をして差し上げようとしばらくついて行って・・・。
　・私語のボリュームが大きいコンビニの若い店員に思わず・・・。
　・ポイントカードをお作りしませんか？という毎度決まったお言葉を投げかけてくるドラッグストアのレジでつい・・・。
い、いかん。いかぬのじゃ。これなら最近の自分はまるで暴走老人のお手本だ。もう少し遡ろう、若かりし日の頃は・・・。
　・遅い車には容赦なく車体を近づけて運転してしまい・・・。
　・先に注文したのに後からってどうゆう事？もうこのレストランには来ない・・・。
　・ひとつどうでしょう、形だけでも私とお付き合いしてると言うのは？いえ、けっしてそんなつもりは、ええ、本当にお綺麗ですよね・・・駄目？駄目ですか、そうですか・・・（このドブスが！）。
　・高さでは完全に負ける（練習不足の為）。だから最初からみぞおちに膝蹴りをしよう。そうすれば気分がいい。あっ、激怒してる。サッカーって格闘技だな・・・。
　だ、駄目だ！何一つ変わってない。もっと遡ろう。思い切って幼少の頃まで遡ろう。
　・負けそうだ・・・、オセロとは言えとても悔しい。もしここに機関銃があったら皆殺しにしてやるのに・・・。
　・この算数のテスト、・・・言えない。クソッ、不正さえしなかったら一番だったのに・・・おい！えこひいきされやがって！お前！。
・・・・・虚しくなってきた。だがこれでハッキリした。どうやら私は先天的に
　”暴走老人だった”様だ。
よし。こうなったら現実を直視するしかない。残りの人生、前向きに生きよう。そうするしかあるまい！私は紛れもないリアル暴走老人なのだ！悪いか！
　開き直った。私は開き直って前だけを見る事に決めた。人生は一度きりだからさ。結局、人に迷惑を掛けなければ良いのだよ、君たち、ふふふ。
つまり、”人と接触をしない”ってのはどうだ？我ながら素晴らしい考えだ。
例えば人里離れた場所に一人住まいをすれば良いのだよ。簡単だ。そうする事によってリアル暴走老人は解消だ！
朝、昼、晩、春、夏、秋、冬、四六時中ひとり。ずっとひとり。
そうする事で、平穏で寂しい毎日が訪れ、やがて私はこう考えるようになる。
　寂しさに負けた・・・、いいえ、世間に負けた・・・、と。
となれば私の事だ。間違いなく人混みを求めてショッピングモールなどに姿を現す事になる。
途中、ホームセンターにて刃渡り１２センチの包丁を購入して・・・って駄目だろ！おい！最悪だ！訂正しておきます。私はさすがにその様な暴挙に出る様な人間ではありません。
私は世にはびこる犯罪を心の底から憎む心優しき一般ピーポーです。
テレビやネットから流れ出てくる事件・事故に心痛める普通の人格者です。けっして性格破綻者なんかじゃありません。
　どの様に生きるかは永遠のテーマです。これからも節度ある開き直りを忘れずに生きてゆきたいものです。
　まさに、汝自身を知れ！名著、”暴走老人”に感謝。

　暴走する老人が多いはずだ！老人ではない自分が既に暴走していたのだから。
そんな自分は事件を起こさずに、当たり前に生きるにはどうしたら良いか、と考えさせられた。
答え？毎日考えております。