はろー、まいわーるど。

全てはここに。そう信じて今日も私は世界をまわす。

とても幸せな夢を見た。
あの日と変わらぬ笑顔で、君が手を差し出してくれる夢。
戸惑う私なんてお構い無しに、君は私の手を取った。

だから振り払った。
無責任な夢なんて見せないで。
君は答えた。笑みを浮かべて。
「いいじゃん、夢なんだから。」
よくないよ。
こんないい夢、私は要らない。

逃げるように、目を覚ます。
少しだけ右手が温かいのは、きっと気のせいだ。

それでも、
夢の中の君は笑ってた。
君は何かを伝えようとしてた。
夢くらい、見てもよかったのかな。

逃げそうになる自分がまだいることに少し驚く。
全ては作りモノ、弱い私が作り出したユメなんだ。

握りしめた拳から伝わるのは、私の体温。
これが現実。
言い聞かせるように、確かめるように何度も拳を握る。

さあ、夢見る私とはここでさよなら。
君がいなくても、私がいなくても世界は回る。
でも、私の世界は私が回すしかないんだ。

はろー、まいわーるど。
ドアノブを回し、外へ出る。
世界が色づく、その日を信じて。

はろー、まいわーるど。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。見つけてくれたあなたに感謝を。

はろー、まいわーるど。

都合のいい夢なんて、私は要らない。幸せな夢を嫌う「私」の詩。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-03

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND