苦み

数年前、これから起こるであろう様々な経験に期待と不安を抱いて十代を終えた。

人間の舌は、成長するにつれて苦みに慣れるらしい。
苦い経験を身をもって味わい、世間の風に耐える日々のなかで、大人になってゆく。

いつのまにかビールが飲める歳になった。
泡で顔をしかめていた頃、未来は明るく楽しいだけだったような。

今日もビールがうまい。苦いが、それがうまい。

苦み

苦み

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-02

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