真っ赤に燃えた
赤く突き刺さる君になりたい
私を色で表現するとしたら何色になるだろうか。
明るく元気な智子は黄色で、恋バナが耐えない千香はピンクだ。
彼氏の敦は爽やかなブルーが似合うし、真面目なお兄ちゃんは緑だ。
天井を見て考えた。では、私は何色か?
白かな、真っすぐで正直で何でも感動してしまう。
いや、黒か?実は計算高くて嫌らしいところもある。それなりに。
こんなつまんないこと考える意味もないや。
そう思いベッドから起き上がり、ボサボサの髪を伸びたゴムで束ねながら机に向かう。
机の上にはやるべきレポートの資料が並んでいて、それに順番に目を通す。
ササッとレポートを仕上げて誰もいないリビングに降りる。
母はいない、仕事だ。
父はいない、仕事だ。
弟はいない、学校だ。
「好きなことをやりない」そう言われて育ててもらったのに好きなことは見つからなかった。
好きなことよりも、好きになれそうなことを探してきたのにそんなものも見つけられなくて、
神様が少し憎い。
テレビ台の隣には幼なじみの優奈と私の顔が並んでいる。
15年前の幼く純粋無垢な笑顔。
優奈と私は幼稚園も小学校も中学校も高校だって同じだった。
同じ制服を着て、同じ電車に乗って、同じ学校に向かった。
同じ授業を受け、また同じ電車に乗って、同じ街へと帰った。
なのに私と優奈の今は何故こんなにも遠いのだろう。
私は何か間違ったことをしたのかな。
平凡で幸せな私の生活に私は満足できない。
私に見せるために母が机の上に置いていった雑誌には、真っ赤なドレスを着た「女子大生作家」がいた。
そんなこと一言もいってなかったのに。
勝手に私を置いていって真っ赤なドレスを着ないでよ。
何もない私と何もない優奈なら、この先ずっと仲のいい親友でいられると思ったのに。
白でも黒でもない。私は真っ赤なドレスで燃えたくなった。
真っ赤に燃えた