RING

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スマートフォンの液晶は午前2:30を示している。
眠れない。
明日からまた仕事なのに、本当に、嫌になる。
毎日、毎日毎日毎日。
お茶くみ、コピー、おつかい、
俺はお前らの奴隷かよ。
本当、思いたくなる。
出しても別になにも言われないし。
言ってくれる人もまぁ中にはいるけれど。
コピーにしたってそう。
何回やっても同じミスをする。
A4は縦に置いてB5は横にって、
設計の時点でなんとなならないのかな。
ややこしいよ。
本当。
でも人はこうやって、何気ない退屈な毎日を
延々と繰り返して生きていくんだろうな、
そう思う。
わっかを1日として、そのわっかをつなげてつなげて
長い鎖になって、ちぎれたりしそうになる日も
懸命にこらえて、なんとか持ちこたえて長い鎖を自らの
体にまとうのだ。
「はぁ・・・めんどくせ」
最近そんな毎日が本当にめんどくさい。
派遣社員だからって、人の事、絶対なめてる。
正社は、はいはいえらいですよっと。
派遣は所詮派遣。
下品なことを言われてもおしりを軽く触られても、
耐えないといけない。
「ちぎれないかな・・・」
ぼんやりとスマホの液晶を眺めながら私はそんなことを思う。
「誰か、さらってってくれないかな」
退屈のしない、刺激的な人生に。
「もう私、おばあちゃんでいいかも」
急に人生を終えてみたくなる。
もうなにもかも、けだるくてとにかく退屈で嫌なのだ。
でも人は歩み続けないといけない。
どんなに辛いこと、例えば家族が死んでも、
殺されても、その悲しみを抱えて生き続けなけばならない。
長い長い鎖を体にまとい続けなければいけない。
「人生終了でいいや」
なんとなくつぶやいてみる。
あ、眠い。
よかった。
これで明日上司に叱られなくて済む―

瞼の裏に光が差してくる。
朝だ。
よし、今日も1日仕事頑張り・・・・
動かない。
体中に文鎮を打ち込まれたかのようにベッドに体が
沈み込んでいくような感覚・・・・
動かしたい・・・
「            」
声も出ない。
瞼もすごく重い・・・・
ここは・・・・どこ?
「はーい田中のおばあちゃんおはようございます。
あらあら。下がちょっと汚れちゃったからおむつ交換しましょうねー
はい体動かしますよー」


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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-01

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