犬女、三十手前になる

頼みがある、もう構ってくれるな。

生き方を見直すことを検討いたします。

私は未だ27なのだけど、この話はちょい早かなとは思うのだけど、きっと何の波も起こらず順調に30になるだろう。

こうなると、もう子供ぶってはいられない。最後の悪あがき、世の中に可愛がってもらう時期も過ぎたら、本格的に大人にならなければ、と目下検討中である。

金は握らなきゃだよな、と思う。

どうしても、貯金を作らなくては。示しがつかないよ、いつまでもこのまんまじゃ。
そう言って何年過ぎた。ええ?おい、と自分で自分の襟首を掴んで迫りたい衝動に駆られる。
なんだかんだ言って物入りで、この貧乏な女は情に負けたり色んな理由で使ってしまっちゃったのである。
ははは、恥だよ、お前は。

人間関係はめっぽう苦手で、女の子相手だと冗談が通じなくなってくるときもあるのでひたすら逃げ回ってきたが、こうなりゃあいつはふにゃふにゃのクラゲ野郎だぜ、と言われて笑いものになろうと思う。
だって本当のことだしー、と言い訳を一つ。

とりあえず、私に用のある人はいないのだ。
みな母にばかり用がある。それでいいし、良かったと思っている。
なので、今も電話が鳴り、下に届けに行って耳にイヤフォン刺して半ケツのたるたるのズボン履いて、変な登場してさーっと去ってきた途中である。
ああいう大人の場に、私はそぐわない。

一人遊びの好きな姉ちゃん、とでも思っておいてもらえばよい。
きっと母が死ねば見限られるだろうが、それはそれでありがたい話である。
この変わり者は一人で放っておかれるのが好きで、得意なものと言えば子供の世話しかないのだ。
いいともー、利用しちゃってくださいな、と手をぐーにして中に繰り出す。

とにかく、もう欲を断たなければ。
ユーチューブが繋がらないと嘆いていたが、WiFiを工夫すれば繋がるようようになった。

返せ、私の5000円!とitunsに怒ってみても、最早金は使われた跡である。

今月も物入りで、なけなしの定期預金に入れた四万円を下ろさざるを得ない。
誰も褒めちゃくれないが、良いことには使ってるのだ。

金を払った分は、取り返さなくちゃ。

そんなんでなくただ単にファンなのだけど、曲を聴きながら、ネット小説など読む今日。
プロとは意外と多いもんだ。
学生と変わらない生活を送る私は若いわけじゃない。ただ金がないのだ。

しかし良い文化を教えてもらえたと、今日もサイト訪問を欠かさない。
やはり賞を目指す人がいるあたりが面白い。案外繊細な気持ちなど学びなおしながら、今はネット小説来てんだよ、と従姉妹に教えてもらったことなど思い出す。

まあね、もう良い人ぶるのは辞めたいんですがね、と悪人ぶってみても始まらないし、所詮私の善意など気分によるものであるのは皆知ってるだろう。だって大概世の中ってそうだし。

絶対なんてないんだよ、と絶対を求めるおバカちゃんに言い訳ぶって、良い面ばっかだったら飽きるだろーとだから悪人がモテるんだ、と正論を一つ。

私がゲスの極みみたいになってしまって、奔放にし出したりしたらそれも面白いだろうが、この内弁慶はそれもよく出来ない。
出来ないので良い人のポーズばかり取る。いや、子供にとって良い世の中になればいいと思うのは本当のことだよ、と思うが、彼らが絶対に私の味方をしてくれないのも知っている。

べっつにね、物心ついたころに、自分で決めるでしょ、どう扱うかなんて、と変なことを吹き込んでいる親を見て呆れながらそう思った。お前らそんなに目の前で証拠晒して、さて事になったらどう責任とるんだ?お前の憂さ晴らしに付き合わされて子供も迷惑だろうよ、と涼しい顔してパフェを頬張った先日。

馬鹿な親はこれからも増えるだろう。だから賢くなるのだ、欲を断つのだと豆腐を食べて飢えをしのいだ昔を懐かしく思い出す。
賢明な判断だった。口は災いの門。食欲から、まずは断つのだ。

とにかくもう、切れるなんてことはお止しなさいな、と助言一つして、私は酷いことをされてもそんなもんだろと飲み込む所存でいる。

今時のもん追っかけてりゃ大丈夫だろ、と思う。枯れなきゃいんだよ、要するに。子供大人、子供大人、と念じてみる。いや、興味のある方へ進めばいいんだと、これは趣味の話。

頼むから、年を取るような緊張感の前に、私を引き合いに出さないでくれ!と頼んでみる。疲れるわ!
絶対家買って一人で住む。これは絶対。

その未来のためにも、今を頑張るのだ。種まきを存分にして、水を十分に与えまくる。
それはやがて芽を出し、草を茂らせるだろう。

大丈夫、未来は繋がってると、私は今日もこんな文を書く。

従姉妹の赤ちゃんが来たので、おんぶ紐をして小説を書くことを思いついたが、意外とちっちゃくて顔が見えないのに「ちっちゃいわー」と女三人で笑った先頃。
助け合わなくては、と話す母たちを尻目に、一人貧血でくらっときて「私は頼りにしない方がいい」「なら寝とれ!」と怒りの鉄槌を下された先頃。

ほんと、頼りになんない。
まあね、こんなもんですからね、私の実力なんて、とふひひと笑う二階で一人。
犬が赤ちゃん泣かすなと吠えとります。
奴にも父性があったとは、驚きです。
では。

犬女、三十手前になる

結構ストレートですね。

犬女、三十手前になる

私はこのまま順調に30になるだろう。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-01

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