母乳
『母親』になりました
8月の初めに私は母親になった
感動と戸惑いと、驚きの連続
息子はすごく可愛くて、大切で、愛しくて
彼の重み、温かみは幸せを感じた
けれど疲れが出てきたんだろう産後2ヶ月
会陰の痛みは引いたけど、内股と腰の痛みはまだ残り、悪露も続いていた
里帰り出産を選んだおかげで実母と実父の元、順調に回復していたはずなのに、
3時間おきの授乳(しかもどうやっても姿勢が悪く肩がこる)や
満たされているはずなのに、なぜか泣く息子の泣き声などでぐったりしていた
フェイスブックやインスタでは、楽しそうに日々を過ごす友だち
羨ましくてしかたなかった
仕事は不満だらけだったけれど、仲間たちと愚痴を言い合い、飲みに出かけた日が懐かしく思い出された
新卒で今の会社に勤めだしてから、冬休みも夏休みも無く、週2休みだけで10年勤めたんだから、育児休暇は取れるだけ取ってゆっくりしようと思っていたのに、今は早く仕事復帰したくてたまらない
子どもが生まれると生活が変わる、というけれど
私は『自分が閉じ込められる』と感じた
外に出たくてたまらなかった
出ればいいじゃない、って思われるだろうけど、母になった私の身体も『母』らしくしろと言う
授乳後、1時間もしないうちに乳房が張り出してくるのだ
母乳が出なくて悩んでいる人もいる
だからこそそれはありがたい事だとは思っている
けれど、その痛みは私に今までとは違うんだ、と『非日常』感を与えるし、
『自覚しろ』と囁いているように思えた
いや、『非日常』と思っている事が間違いなんだろう
私は出産した
人間を作ったのだ
それは一瞬で終わる事でも、数年で終わる事でもない
一生つきまとう事だ(表現は悪いけど)
まだまだ大人になりきれていない私は、今更ながらそれを自覚した
息子が寝て2時間程経った
ちりちりと痛い乳房が重みを増してゆく
漫画であれば、すやすやという効果音が描かれているだろう安らかな寝顔を見ていると、
どんなに乳房が痛くても、乳を飲んでくれと息子を起こすのはかわいそうに思えてくる
可愛いのだ
何を思ってもこの子が
母乳が出なくてミルク育児に切り替えた親友は、その事で自分を責めたようだけれど、
もうすぐ1歳を迎えるその娘との様子を見ていると、まるで育児雑誌に載っている親子のようだった
私はそんな風になれるのだろうか
不安でしかなかった
そう思いはするのに、まだ私は仲間たちと飲みに行きたい、旅行に行きたいなど以前の生活を欲していた
乳は張り続ける
乳が貯まり、胸に堅い岩のようなしこりが生まれた
身体が命令する
母親になれ、と
母乳
母乳が出るのは『母』の自覚が薄いから?