「ロンドンオリンピック」とグローバル。

ロンドンオリンピックの開幕まで1ヶ月を切った。「開幕1ヶ月前の6月27日から、タワーブリッジに巨大な五輪マークが現れた」とウィンブルドン選手権の観戦と仕事を兼ねてパリからロンドンに滞在中の妹から連絡があった。100年以上も前からテムズ川に架かっている跳ね橋の中央に、オブジェが飾られたという。

オリンピックイヤーに生まれた僕は、オリンピックとの縁は深くて、これまで仕事も含めて、いくつかのオリンピックを観てきた。ミュンヘンオリンピックの日本男子バレーボールが金メダルを獲得した試合を観たときには、リトルリーグで野球をやっていた僕はバレーボールを始めようと決意するきっかけとなった。ロサンゼルス、ソウル、バルセロナ、アトランタの各オリンピックでは、仕事の関係もあって、商業オリンピックを体感し、併せて各国の選手たちの鍛え抜かれた競技の数々に胸を打ち、そして同時にグローバルな瞬間を肌で感じてきた。

ところが、今年のロンドンオリンピックにカンボジア国籍を取得してマラソン選手としての出場を狙った日本人タレントの猫ひろしの話題に疑問を持った。そして、あらためて調べてみると、なんと過去これまでも多くの選手たちが国籍を変えて出場しているということに驚いた。実際、今年のロンドンオリンピックの開催国のイギリスでも、外国生まれでイギリス代表に決まった選手たちを「Plastic Brits」=「にわか英国人」だとメディアが取り上げているようだ。

しかし、グローバルって何だろう?

オリンピックほど、世界中の人たちが集まる素晴らしいイベントは他にないと思ってきた僕にとっては、国籍を変えて出場せざるを得ない政治的な事情を持っている東欧の選手などの事情と異なり、芸能人などが金銭欲や名誉欲などのためだけで国籍を変えてまで出場しようとする行為は許せない。また、オリンピックを開催することが各国にとっても、経済効果だけを期待する傾向も良くないと思う。

今回の開催都市ロンドンは、オリンピック開催が3度目だが、前回の中国の北京や次回のブラジルのリオデジャネイロなどは、これまで欧米の先進国を巡ってきた歴史とは違った新たなステージに入った現れだ。リオデジャネイロの次の2020年の開催国候補には、東京が2回目の開催に向けて候補に残っているが、僕の生まれた年に開催都市だったローマは、イタリアの深刻な財政事情から候補から外れた。世界が一同に会するグローバルな舞台のオリンピックにも、課題が多い。

でも、オリンピックイヤーに生まれた僕にとっては、これからもオリンピックにグローバルな息吹を期待し続けたい。

「ロンドンオリンピック」とグローバル。

「ロンドンオリンピック」とグローバル。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-06-30

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