三つ目の選択肢
一生の選択肢、あなたなら、どうする?
私が死んだら、どうなるの?
その問いに、答えてやろう。
そう夢の中のオレンジ色の空間で、死神ブラザーズは言った。
死神ブラザーズは、双子で、三角の布に顔を隠して、上半身は裸で、目も当てられない。
「なんか着てよね」
私がそう言ったら、「死神に」「服など必要ない!」と言って下は履いてるのだからなんだか報われない。
「これからお前に、二択の選択肢を与える。このまま死ぬか、生きるか、どちらかだ」
そう言って、映写機を弟の方がかたんと回し始めた。
ジジジジ、と映像が始まった。
「お前は今日、父親の運転する車で、後ろから追突され、一人だけ犠牲になった。このまま生きれば両足を失うだろうが、生きてはいける。
しかしお前が死を選べば、親は相手を殺し、自分たちも死ぬだろう。さあどうする」
どうするって、と映像を見ていた。
私はミンチになった足をレスキュー隊に切られ、車体から引きずり出されていた。見ていられない酷さだ。その内入院生活に入り、うつうつとした日々を過ごし、やがて年老いて施設に入る様子が映った。
それから画面が巻き戻り、今度は死んだ私を抱いて、両親が喚き、追突した若者を何度も殴って父が逮捕され、母が途方に暮れていた。そのまま母は意識が正常に戻らず、父は檻で一生を過ごす。
どちらも見ていられない。
私は「何これ、バッドエンドしかないわけ?」と死神ブラザーズに切れ、ブラザーズは「最後の救いをやろう。この記憶を持ち、現世に帰ることだ。これにより、お前の人生はいくらでも軌道修正できる」と、ほんとにそれだけなの?という希望をもらい、私は悩んだ末、「わかった、乗ろう」と握手を交わした。
鎌で兄が足を掬うようにすると、足がきれいに消え、私の意識は飛んだ。
ふと気づくと、病院のベッドの上。
泣いてばかりいる両親に、「何泣いてんのよ、まだ腕があるでしょうが!」と私は激を飛ばし、さあ、パソコンを持って来て、と頼んだ。
これから勉強しなくてはいけないことがごまんとある。その前にリハビリだ。
私は「一生の戦いだよ、覚悟してね」と、家族ににっと笑いかけた。
母がほっと息を吐いた。
三つ目の選択肢
リアルの影響です。