命刻のヴィンテージ
刻一刻と
移りゆく季節の中
優しさと愛しさの中間点
シンとした無点
火天の彼岸
散りになる光り
単純な呪縛であって
強靭な呪縛になる
一つ一つ折れて
屈折する固定観念
眼に映る世界に
どれだけ
その小さな背を向ける?
虹の先に
自由がある
そんな夢見の感情は
今の時間に
血液の様に流れない
死の世界を桃源郷だと
言える人が
誰も居なくなったら
恐怖とだけ
戦わなくてはいけない
この小さな笑顔の先に
ただ暗いだけの
世界は似合わない
弾くのは
今ある
あなたから
指の先が舞い上がる
フライングで踊る鼓動は
ここ迄とは違う
高性能スピーカー
日付という弦
乱れるのも
整えるのも
そして辞めるのも
あなたの自由だけれど
古き良きモノと
位置づけられたい
願いと共に
命刻のヴィンテージ
自室空間の穴
誰にも見せられない
ボールペンの芯の
インクとインクの間の空間
虚無的数式
この計算に意味など無い
温かいのは
トイレだけか?
ささやかなのは
自分の為だけか?
ゴミ箱の底も
ゴミ袋の下も
今はまだ何も無いんだよ
振り返った時に
初めて見えるんだ
誰かに何かを
となえる時間に
教える時間に
その脳内認識空間に
入れる程
今はまだ
経験値が無い
感覚的経験値は
「する」事しかできない
世界の中心だから
弾くのは
今ある
あなたから
つま先がかき混ぜるリズム
フライングで踊る鼓動は
此処からとは違う
高性能スピーカー
思い出という楽譜
大切にするのも
忘れるのも
そして失うのも
あなたの自由だけれど
小さな証として
位置づけられたい
時間と共に
命刻のヴィンテージ
命刻のヴィンテージ