a piece of cake

 二十六時のこと。
 閉店間際の洋菓子店で買ったイチゴのショートケーキを、キミが丁寧に、厳かに、祈るように、蝶を展翅し標本を作るように、ゆっくりと時間をかけて味わう様は、そう、深く愛し合う恋人同士の長い前戯にも似て、僕は吐き気をまぎらわせるためにブラックコーヒーを二杯飲む。

a piece of cake

a piece of cake

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-27

CC BY-NC-ND
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