こっち見んな

おっぱい

暑い。暑い。暑い。ただただ暑い。
もう9月なのに暑い。
何でこんな暑いのか、地球はそろそろ終わるな。
静かな教室で薄っぺらい現代社会の教科書を使って少しでも暑さをしのぐ。
「藤田!次だよー!てか暑ッ…ここの教室…」
「先生に冷房切られた…」
「鬼だな…次俺らのシフトだから行くよ!!」
私を呼びに来たのは同じ部活の渡邊 雄大(ワタナベ ユウダイ)
遅れ遅れだが、私は藤田 楓(フジタ カエデ)
現在高校2年生軽音楽部に入っている。
「藤田さぁ〜ん次なんの曲やりますぅ」
渡邊が視聴覚室に向かいながら私に猫なで声で言ってきた。そう、私たちは今次の文化祭でやる曲を決めなきゃ行けない。これがかなりめんどくさい。
理由は3つ

1バンドメンバーと曲の趣味が合わない

2決めても練習しない

3あ、ないわ。特にない。この2つだわ

「そうだねぇ〜あれは?クリープのあれ」
「あーあれね?あれでしょ?」
「そーあれ、わかる?あれ」
「イーノーチ?」
「ミージーカシ?」
「「コイセヨオトメ」」
「「wwwwww」」
このくだらない感じが私は好きだ。
4階に視聴覚室があって3階目を登ってる時教室に忘れ物をした事に気付いた。最悪だ。
またこの階段を登ることを考えたら死にたさでしかない。死ぬか。やめとこう。
「渡邊怖い話していい?」
「やめて」
「あのね、教室にね?歌詞ノート忘れた。」
「ふざけんな取ってこい笑俺先行ってるから!」
そう言って渡邊は階段を一段抜かしながら登って行ってしまった。
「ついてきてくれてもいいのに…」
今、私はスネている。
誰も居ない廊下。誰も居ない教…
「カサッ…」
「うっ…」
やばい。変な声がでてしまった。
何か物音がした、確実に私の入ろうとしている教室に何かいる。
私は2-2の扉に手をかけ思いっきり扉を開けた。
「…」
なにも居ない。電気を付けたがなにも居ない。
若干ガッカリした。なにも居ないことに。この平凡でつまらない学校生活があの「カサッ」で少し変わるんじゃないかと思った。しかし目をこらすと普段眼鏡をかけているがとったら世の中の女子たちがほっとけなくなるくらい容姿のイケてる長身の黒髪猫系男子が放課後の誰も居ない教室の隅っこで休んでいた。そして私は近づいてその人の横にしゃがみこんだ。
長いまつげだ。ほしい。
綺麗な鼻筋。ほしい。
「こっち見んな」
「え…?」
「お前さっきからなに見てんだよ」
「綺麗だなーって見惚れてしまいました…」
「お前さぁ…」
「???」
「おもしれぇやつ」
と、よく漫画に出てくる主人公をこれから好きになるであろうオトコが言うセリフナンバーワン「おもしれぇやつ」を最後に長い妄想が私の脳内で行われたところで終わる…結局教室には誰も居ないし私は私の机に置きっ放しになっている歌詞ノートをもってすぐ教室をでた。あの「カサッ」はただの物音か何かであろう。

こっち見んな

こっち見んな

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-09-27

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