世界の厄介者
久しぶりに星空文庫に来てみた。もう三年も放置してる。パスワードはさっぱり忘れていた。新しいパスワードを取得して管理画面を開くと、最近半年の期間であっても4、5人は誰かしら見に来てくれた人もいるらしいということがわかった。
星空文庫のアカウントには、普段使っているアカウントとは別のTwitterアカウントも作成していた。なぜわざわざ別のアカウントを用意したのかは今となってはわからない。星空文庫を通して全く新しい誰かと知り合いたかったのかもしれない。
そのアカウントのパスワードも忘れてしまっていたので、作り直してログインした。星空文庫に作品を載せていた当時、Twitterには4名ほどフォローしている星空文庫作家がいた。みたところ、全員が全員WEB作家活動を休止しているように見えた。
そのうち一人が、短編を幾つか書いている女性の作家であることを覚えていた。私は作品を読んで気に入った作家にはTwitterでメッセージを投げてフォローしていたのだが、その作家は親切にもフォローを返してくれていた。その人の作家活動も停止しているようなのが残念だったのだが、Twitterでは自動投稿のようなものが延々とつぶやかれている。この人が自ら近況を語ったのはいつが最後だったのだろう、とツイートを遡っていると、彼女の母からの代理投稿が目に止まった。
彼女は丁度1年前くらいに亡くなったのだそうだ。死因はわからない。母からフォロワーに向けた形式的なお礼の言葉が書かれているのみだった。
亡くなる直前のツイートを見てみると、彼女は精神の病を患っており、Twitter上ではいわゆるメンヘラと呼ばれる人たちのコミュニティの中に属しているようだった。
なぜ世界はこうなのだろう。こうもあからさまにがっかりさせるのだろう。自分が彼女の人間性を少しも知っているわけではないし、彼女の作品をすら十分に読んだわけではない。それなのに悔しい気持ちが湧いてくる。世界の貧しさ、淡白さ、無表情を感じる。言わば、世界には感情が無いのだ。彼女のツイートからは生きていることを不条理だと感じるやるせない気持ちが溢れ出ている。それでもなんとか病んだことばかりを書かないようにしようとする努力、フォロワーとコミュニケーションしようという努力が見て取れる。実際、友人は多かったように自分からは見える。そういう人がなぜ苦しむだけ苦しんで死なねばならないのだろう。苦しむことを知らないような人が人の上を生き続けて、どうして苦しみを知っている人が知られないまま苦しみつつ死なねばならないのだろう。
神は我々を愛していない。それどころか憎んでいる。神は我々に期待などしていない。それどころか厄介だと思っている。
であれば、厄介者としてこの世界にしがみつかなければ。神や人間社会に迷惑をかけ続けて、反撃をしなければ。
怒りめいた気持ちだけが、この世界の厄介者にとって生きる理由になり得る。殊勝な心掛けなど何もいらない。そんなものは全部捨てていい。親のためだとか社会のためだとか全てどうでもいい。
ただしぶとく生き続けて迷惑をかけ続けることがこの世界への報復なのだ。
私は報復のために生き続けようと思った。そしてそのために作品を書き、読むことを再開させようと決めた。
世界の厄介者