まぼろしの星屑
まぼろしの星屑
深呼吸をして、貴方に向かえば、星屑が喉に刺さりました。
幻想の星屑の所為で、私は声が出せない。
貴方が目の前に居るのに、まぼろしの星屑は、語らいを阻む。
愛しいなどと、言えなくても、憎たらしいなどと、言えなくても、私はここにいると、今日こそ貴方に告げたいのに。
私はまた、現実と幻想の境を魚のように揺蕩うから、幻想の罰が私を苛む
貴方の欠伸
深刻な顔をして貴方を思うと、貴方は気の抜けたような顔で私の前に現れる。
そして、深刻な私の思いなど気づきもせずに欠伸をして伸びをする。
そして私はそんな貴方の欠伸に救われているのだ。
身勝手な苦しみについて
貴方の思い人の存在について、それはきっと死刑宣告
私の輪郭が消える瞬間
貴方のつがいを知ることとは、痛みだけで終わるわけがなく、私の存在そのものに関わる
貴方のことなど、知らなかった頃に戻れたらいい
貴方のことなど、好きにならなければいい
私の存在自体消し去りたい、そういう衝動である
ありとあらゆる慰めを用意して、ありとあらゆる薬を用意して、ありとあらゆる専門医を用意して、ありとあらゆる覚悟を総動員したとしても、その箱を開けるわけにはいかない
貴方の思い人を知るわけにはいかない。
まぼろしの星屑