憧る
そう、所詮そんなもの
期待なんて二度としない
随分昔に学んだこと
随分昔に諦めたこと
みんなのヒーローであって
みんなのリーダーであって
みんなのフォロワーである
そう思っておけばいい
その実怖がるだけの無能者
本当は息を吐き切りたいだけ
目敏く薄明かりを見付けては
飛び付いて燃え散る羽虫のよう
いっそ君に殺されてしまいたい
この仄暗い色が飛び散る前に
何も無かったことにして
何も生まれなかったことにして欲しい
もう苦しむのは飽きた
どうにでもなるがいい
不特定多数に奪われたこと
不特定多数に消されたこと
悲劇のヒロインであって
欺かれたシーザーであって
卑しいベッガーである
お誂え向きだろう
言わば快楽に噎ぶ浮浪者
本当は噛み締めて泣きたいだけ
あざとく誰かの心惑わせては
したり顔で悦ぶ娼婦のよう
いっそ君に殺されてしまいたい
怪物が卵の殻を突く前に
僕をすべて焼き払って
初めからいなかったことにして欲しい
憧る