嗚呼、まだ空は碧い

暑い。驚くほどの暑さだ。残暑ってこわい。
9月半ばの体育とか最悪。今の時期は体育大会の練習で2時間連続が当たり前。
全体練習の行進を何度もする意味はわからないし、馬鹿みたいに集団移動させる意味もわからない。
学年でフォークダンスをする意味も。3年生の行事のフォークダンス。まるで意味がわからない。
何のために公の場で異性と手を繋がなければいけないのか。まぁ、わからない。
女子は好きな男子と踊りたがる。男子は可愛い子と踊れればいいと言う。
じゃあ私は。誰とも踊りたくないと思う。男子に触れたくない。
だから、微かに聞こえるフォークダンスの曲をトイレの個室で聞いている。
何回目か。担任があくまで義務として私の体調を心配する。
毎度のように、大丈夫です。少しお腹いたいだけなんでというだけで。

あぁ、つまらない。
楽しそうな曲を聴きながら独りで小さくステップを踏んで。
好きな人とも男子とも手を繋げない。痒くならなければ。勇気があれば。
君と踊れたのに。君に触れたのに。
楽しそうに笑う声が憎らしくて仕方がない。青い空に響く声が羨ましい。
私が見てるのは今にも消えそうな碧空で。君と踊りたい。
嗚呼、今日も空は碧いままだ。

嗚呼、まだ空は碧い

嗚呼、まだ空は碧い

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-17

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