徒然日夜・序章
これは私の日記を基にした自叙伝のようなものです。
この春大学に入り、新しい環境で「私は何がしたいんだろう。」とぼんやりと悩んでる今、
自分を見つめ直すための覚え書きに過ぎません。
まずは序章として短いですが春の思い出を。日記からの引用がメインになりますが、
今後はこのような形で更新していきます。お見知りおきを。 八幡
三月九日
『昨日、高校を卒業した。』
赤点の魔術師との呼び名と、いつの間にかついた遅刻常習犯の肩書とも今日でおさらばだと喜んだ。
三年間教師に没収され続けたピアスやネックレスを懐かしみながら、
修学旅行前に中退した友達と親友二人とガストでポテトを摘み、
まさかあんたが卒業できるなんてねと冗談交じりの他愛無い話をして、
それから親友二人と卒業記念のプリクラを駅前で撮った。
昨日は本当に楽しかった。今日とは正反対で。
充実して素晴らしい高校生活とは胸を張っては言えないけれど、それでも私は満足だった。
なんの変哲もない日が毎日続き、その日の気分で遊園地やショッピングモールに出向き、
財布が寂しいからと昼は友達に集り、そうして過ごした友人たちとの日々に虚しさはあれ、
不満など一切なかった、切実に楽しかった。
それなのにどうしてか今は心の喪失感が凄い。春休みが長いと喜んでたはずなのに。
卒業祝いでお腹いっぱい大好物も食べさせてもらったのに。
昼に起きて学校の遅刻を気にしなくても良くなったのに。
四月三日
『卒業してから一か月近く経った。卒業してからは高校の友達とは会っていない。
家で毎日昼に起きて、西日に目を細めながら煙草を一本吸って、ひたすらゲーム。
夜は漬けてる梅酒を盗んで晩酌まがいの一人酒。部屋の明かりを消して
iPhoneと仲良く何時間も過ごした後に、新聞屋のカブのエンジンが忙しなく聞こえだす時間に寝てる。
そういやこの前B子と行ったディズニーの写真、楽しそうでお気に入り。』
卒業して以来、堕落して世間の言う「18歳」として全く模範的ではない生活をしていた。
卒業してすぐに髪を憧れていた白に近い金髪にし、部屋ではジャージで過ごし、
本当に絵にしたようなヤンキーのまがい物だった。
しかし今日はそうともいかない。父方の母の家の法事が朝からあった。
私は例に漏れず夜更けまで起きていて、眠い目を擦りながらもうほとんど
着ることのないであろう制服を眺めた後、喪服に着替え車に揺られた。
『今日はいつにも増して車酔いが酷かった。
寒い寺で長ったらしいお経を聞いて睡魔と戦って、
上野の桜眺めながら伊豆榮でうな重かき込んで、
帰りは三原堂でシュークリームとイチゴタルト買ってもらった。
「入学祝だ。」ってパパが頭軽く撫でて言ってくれた。
明日は大学の入学式だ。
入学式の前に法事なんて嫌だったけど
何だかんだ今日は良い日だった。』
徒然日夜・序章