京月夜/新作短歌

長き髪 貴人の白き指流れ
   墨跡を見て思う月かな
   

御所の屋根 白き庭すみ 月映えて
   大宮人の影や何処へ


【島原の月に】

島原の里に昇りし名月を 
  名花の膝のうたた寝で見ん

故郷の君に(いだ)かれ(あけ)し夜の
  月をば今は他人(よそ)(かたわ)

窓の月 心あらばや今一度
  恋しき人に一目だけでも


【 恋月夜 】

東山 松ヶ枝越(まつがえご)しに昇りくる
  月よりもなお君が文待つ

肩衣(かたぎぬ)を白き指にて閉じし(ひと)
  立ちゆく縁に十五夜の月

去りゆけど月の満ち来るまたの宵に
  忍びて入らん御簾(みす)の影へと


【 月の祇園 】

月の宴 好きなお方の前で舞う
   白き化粧に心隠して

舞いながら扇の隙間に目をやれば
   心ときめき三味(しゃみ)()も消ゆ

お月はん 今夜も合わせておくれやす
   たんとお団子上げますさかいに

足早に座敷へ向かう柳影(やなぎかげ)
   今宵(こよい)の空には十六夜(いざよい)の月


(また出来次第、筆者)

 
    




  

京月夜/新作短歌

京月夜/新作短歌

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-17

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