カップルと「私」という生き物
あれは冬の日じゃった。
その日、私達は出会った。
あの出会いは、私のカップルへの価値観を大いに変える出来事だった。
私はうどん屋で、きつねうどんを注文し、席に着いた。
隣にはカップル。文学が好きそうな、大人しい感じ。
彼らは私が席に着くと、待っていたかのように語り始めた。
「私らこれからどうする?」
「どうする?」
「その1、車の中でのんびり読書デート」
「デート」
「その2、本屋で立ち読みデート」
「デート」
「その3、家具コーナーで寝具のお試しデート」
「デート」
その4、その5と続くので、私は面白がってゆっくりうどんを啜り、身内に呼ばれて立ち上がった。
彼らは平然としていた。
平和だな、と思った。
その後本屋で再開したが、お互いに無視した。
私とカップルという生き物の、ファーストコンタクトである。
優しさを教わった気がした。
とある日の思い出。
カップルと「私」という生き物