冬の電車

外気を浴びはじめる人のかおは
紅潮をよわめて外套をうでからはがしている
つらなる、長いへびのような影を見おくると
わたしの冷えた空気を
車内にただよう初夏な風がさわり
こめかみはカルシウムをつくりはじめる
不気味なほどに、不気味なほどに
わたしがへびの頭を任せられると
出入の自動とびらは
寝しずまった外気をとりいれながら開きだした
ゆっくりと、ゆっくりと

冬の電車

冬の電車

冬の暖房は、乗客の服装事情を鑑みずに、強烈に稼働する。 そんな思いを共有する人たちを代弁できていれば良し。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-16

CC BY-NC-ND
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