アオイとソウ
アオイとソウは小学3年生になる双子の兄弟。
その見た目は両親でも間違うことがあるくらい同じ。けれど、中身は全てが正反対。
勉強が得意なアオイ。運動が得意なソウ。そしてお互い、その逆が苦手ときている。
そんな二人の、ある日の出来事。
「なぁアオイ―、100円貸して」
「また?前も100円貸したよ。まだ返してもらってないのに」
「ちゃんとまとめて返すから」
「・・・わかったよ」
そしてソウはアオイから100円借りた。実はもう400円借りている。
「サンキュー。次のお小遣い日には返すよ」
なんて言ったものの、ソウにはある計画があった。
「なぁアオイ、明日の体育変わってやろうか?」
「え?いいの?」
もちろん、ソウはアオイが体育が苦手な事を知っていた。
「いいぞ。俺はその時間算数だからな。ワザと間違ったりしろよ」
「わかった。ソウもあんまり早く走ったりしないでよ」
「わかった。俺はアオイ。お前はソウだからな」
「うん」
「じゃあ、休み時間になったら3階の西トイレに集合な」
親でも間違う二人が入れ替わっても、周りの人は気付かない。二人はたまーに、こんな風に入れ替わったりもしていた。
これはソウのアイディア。勉強は苦手でも、頭は決して悪くなかった。
そうして二人は入れ替わり、ばれずに授業を終えた。
「ねぇ、ソウ」
約束していた次のお小遣い日、アオイがソウに言った。
「500円、今日返してよ」
「なんで?」
「だって、こないだそう言ってたじゃないか。次のお小遣い日に返すって」
「ああ、そのことか」
ソウはニッコリ笑いながらアオイに言った。
「こないだ俺がお前だった時に、”もう返してもらわなくていいや”って思っておいたよ」
勉強は苦手でも、決して頭は悪くなかった。
お題【未熟な借金】にて
アオイとソウ