後悔
見えない壁が二人を隔てる。
見えない壁に寄りかかる目の前の無邪気な子供は目をつむり笑わない。
「見えない壁はどうやって壊せばいい」
子供は無視した
あんなに冷たい目をしていても触れれば温度があるのだろう
そんなことはわかっているのに、触れられない
この壁が憎い
「ねえ、この壁は何よりも難しいけど簡単になくなる」
「じゃあやってみて」
「いいよ」
できた?
瞑っていた目を開けると目の前には誰もいなくなっていた。
自分の声は一人言になる。
どこ?
探してもいない
なぜだか、今まで触れたことなかったはずのあの温度も、近くなることさえなかった目も間近に感じることができた。
ずっと、そばにあったように体はぽかぽかと心だけはすっかり空になったとき、ようやく先ほどまでの話し相手が姿を出した。
「もう遅いよ」
悲しそうだった。
後悔