その小さな窓からは
その小さな窓からは
いつも小さな空が見えた。
絶えずそこにあった小さな空は
時に蒼く、時に赤く。
時にひどい金切声をあげ泣き叫ぶこともあれば、
時にただただ静かに、きらきら光る希望を見せてくれた。
その小さな窓からは
いつも小さな山が見えた。
絶えずそこにあった小さな山は
時に翠く、時に紅く。
時に激しく体をふるわせ、その怒りをまき散らすこともあれば、
時にただただ凛として、強くあれ、と教えてくれた。
その小さな窓からは
いつも小さな海が見えた。
絶えずそこにあった小さな海は
時に碧く、時に青く。
時にその腕をふりまわし、暴れまわることもあれば、
時にただただ穏やかに、それでよいのだと赦してくれた。
その小さな窓からは
時に小さな人が見えた。
まれに姿を見せるその人は、
時に弱く、時に強く。
時に悲しみにその瞳を曇らせることもあれば、
時に喜びとともに、その瞳は遥か彼方へとむけられていることもあった。
そして時に、ただそこに坐して、その瞬間をただゆっくりと待っていた。
その瞳に、希望と、強さと、赦しをうつしながら。
その小さな窓からは