三日月の爪
「不在」があなたへの想いを大きくする
職場に置いてきた宿題はなんだっけ
いつだって思い出せない
家のあちこちにあなたの匂いが残っていて
鼻から入って私の胸に刺さってくる
抜けなくなってしまった棘を持て余している
「不在」があなたへの想いを大きくする
失ってから気づく
「あなたと出逢えてよかったな」?
失いたくなかったから
もう過去形
失いたくないから
家のあちこちにあなたの匂いが残っていて
私を閉じ込めて放さない
窓を通して見える三日月が
床に落ちているあなたの爪みたいだ
最後の夜につけていった下着の色はなんだっけ
いつだって思い出せない
「不在」があなたへの想いを大きくする
むくむくと膨らんでいつかきっと私をこなごなに壊してしまう
三日月の爪