月の夜に/新作短歌

【 平成の月に】

君の無事確かめたけれどスマホ切れ
     見る余裕なき十五夜の月

倒されし 巨木の枝の濡れカラス
     何を想いて見る秋の月 

野分過ぎ 剥がれし屋根を覗き込み
     何事在りしと月われに問い

暑き夏の想い吹っ切れ見上げれば
     (すみ)し夜空に十五夜の月

まっいいか~ きっとどこかでこの月を
     見つめてる未来の彼氏がきっといるはず


秋月夜 忍ぶ草陰鳴く虫の
    心に染み入る声ぞ哀しき

ねえ虫さん いい加減なきやんでくれない?
     出ないと私 また泣きたくなるじゃん


この月を 千代萬世(ちよよろずよ)のその先も
     君と眺めん忘るるなかれ

ねえお月さん この彼氏とこの先もずっと一緒にいられる?
    だよね でも一緒にいられたらいいなあ ず~っと

【いにしえの月に】

東山に 月は昇りて待ち望みたる
   都のしじまに響く管弦

町衆は松ヶ枝越(まつがえご)しの庭の月 
   我見る月は岸の尾花に


【 島歌流れて 】

南では 蛇皮線片手(じゃびせんかたて)に恋人と
   唄い明かすらし月の一夜(ひとよ)

三線(さんしん)の我がうた聞かば想い人 
   今宵来たれや木戸開けたれば

月の浜 神も降りくるこの宵に
    遠慮はいらぬさあ抱きしめよ
   

月の夜に/新作短歌

月の夜に/新作短歌

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-12

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