葡萄

葡萄

そこにいた。


いつからいたのかわからない。
彼女はただ静かにそこにいる。


声をかけられるのを待っているのか、
声をかけたいけどかけられないのか。

それは彼女にしかわからない。


少し近づくと、
甘酸っぱい香りが鼻をくすぐる。

ふと、触れてみたくなった。

そんな香りだった。


彼女はそんなことは全く気にしてない様子で、
ただ静かにそこにいる。


触れるにはまだ早いのかもしれない。


ふと、窓を見る。

まるで僕のはやる気持ちを見透かすように、
それは紅くあふれ出ていた。

葡萄

葡萄

そこに彼女がいた。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-11

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