窒息

いつからだろう。
息が苦しくて堪らないんだ。
鼻詰まりは無い。喉も悪くない。
検査をしても異常は無くて。
そうだ、僕には何にも無い。

何にも無いから苦しくなる。
僕の引き攣った笑顔も吃り気味の声も、全部息が苦しいからなんだ。
だから責めないでくれ。
これはどうにもならないんだ。

薄い酸素じゃ頭も回らず。
ぐるぐるぐるぐる言葉が巡る。
でも、どんな言葉を使っても適切じゃないんだ。
表現とか、言い方とか、修辞法とか、そういう問題じゃないんだ。
この息苦しさ、あるいは生き苦しさか?こいつを表す言葉が、喉の奥から出てこない。

息を止めれば楽にはなるが、それもごく短時間のことで。
すべてにシャッターを下ろすには、僕はあまりに大きくなりすぎた。
どうだろう?
飲み込んでみれば?

いつの間にかもう深い、不快な夜だ。
太陽は嫌いだけど、月はもっと嫌いだ。
あの白々しい配色が、どうにも許せないんだ。
ああ腹が立つ。
いつか飲み込んでやろうか。
そうすれば僕の喉の痛みもいずれ消える。
きっと消える。
消えるんだ。
消えるに決まっている。
確定事項だ。
飲み込んでやる!

窒息

窒息

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-09-05

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted