天使狩人 8

前回と同じ

 次から次へと降りかかる面倒くささにいい加減痺れを切らしてきた。
「ちょっと待ってよ、シーラ!」
「何、ダーク?」
「めんどくさいし、疲れたしさぁ」
「これでラストよ」
 何、ラストだと……? なら、話は別だ。
「よしっ、バトルスタイルだったか? 行こう!」
 実際、ダークは疲れてなどはいなかった。ただ、余りにも多すぎる情報量に頭が追い付かなかったのだ。とはいえ、まだ《洗礼》しか済ましていない……。そして《洗礼》を終えてから、塔を一階しか登ってもいなかった。
「ねぇ、バトルスタイルって何?」
「それも知らないの? まぁいいや。そのうちわかるよ」
 二人がそんな会話をしている間になにやら、武器を売っていそうな店についた。壁には、剣、槍、銃などが飾られてある。
「いらっしゃい」
 力強い陽気声が店の奥からした。そして、とても肉付きがいい男が現れた。なんだか、肉屋のおっちゃんみたいだ。
「スタイルはなんかね? 《聖騎士》か? 《槍術師》か? 《銃装者》か? 《妖術師》か? 《召喚師》か? 《医療師》か?」
「え、え、あ……パラディン? ランサー? ガンマン? ソーサラー? サモナー? ヒーラー?」
「おや? もしかして、おまえっさん。新人か?」
「はい、そうです……」
 少し声が小さくなってしまい、情けなく感じた。
「新人なら、しょうがない。ちぃっと、説明してやっか」
「お願いします!」
「いいか《聖騎士(パラディン)》は、刀剣で戦う天使狩人のことだ。
 そんで《槍術師(ランサー)》ってのは槍で戦う天使狩人。
 《銃装師(ガンマン)》は重火器で戦うんだ。
 そして《妖術師(ソーサラー)》は魔法。
 《召喚師(サモナー)》は天使を召喚して戦う天使狩人。
 《医療師(ヒーラー)》は他の天使狩人を補佐する天使狩人だ」
 ……………………………………………………………………………………。
 思考が停止した。なんだか、複雑でよくわからないし……。
 はっ! まてよ、確か『めんどくさい』と言った奴は剣を持っていたな! だったらーー。
「聖騎士……パラディンを俺は選ぶよ」
「おお! 聖騎士か! なら、頭を預けなさい」
 ダークは、またかよ、と思いつつも頭を預けた。


 聖騎士に関する情報が頭に流れ込んできた。
 刀剣に自分自身の魔力を宿し魔装剣とし、それらで戦う戦士である。天使との直接的な戦闘を強いられるため、常人以上の身体能力が必須。

「修了だ。ちなみに、これらはマイスター(称号)として扱われるからな。そしてマイスターは、条件が満たされればいつでも得とくできるぞ!」
「え? 俺の条件は」
「ん? あ~、洗礼でなある程度決められるんだ。言っておくと《槍術師》と《銃装師》、《妖術師》、《医療師》は合ってないなァ……まぁ《召喚師》は天使がいないとダメだからなぁ…そのうちわかるようになるよ」
「はぁ……」
「ダーク! 行こうよ」
 突然、シーラに呼ばれた。
「いや、ちょっと待って、スタイルは決まったけど武器が無いよ」
「えーと、後で手にはいるわ。そ・れ・よ・り・も、今から集合なんだよ! あの広場に」
「えっ! なら、仕方ないや。行こう!」
 肉屋のおっちゃんみたいな男にお礼を言ってダーク達は、広場に戻った。
 
 まだ、二人はこれから起きる事態を予想出来なかった。いや、予想すらしようと思わなかった。ただ一人、その事態を知っている者がいた。それはーーダークを天使狩人に招待した男だった。

天使狩人 8

続く

天使狩人 8

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-06-23

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