メガネ女子高生ブレザー探偵カナメ メガネケースVol.3

完結と思われたがアイディアが溢れるのと長編のつなぎのため継続。

メガネ女子高生ブレザー探偵カナメ メガネケースVol.3「レベルアップ!されども栗原田カナメは笑えないの巻」


「うーむ。汁まで全部飲むと、かなり体が重くなるものだな。しばらくうどんだけで過ごしたくなったぞ。」私は栗原田カナメ。うどんと事件が殺人事件が大好きな高校二年生になってしまった女子高生だ。
「でもぉ。カレーは洗ったかのように綺麗二舐め回すヒトがほとんどなのに、汁をいつも残されるうどんッてまずくナイ?」イントネーションがおかしく、なにを言っているのかわからない、この女は竹美香子。私のワトソンくんだ。本当のところはライバル探偵って、勘違いしているがまあいい!徹底的に利用するまで!
「いやいや俺もカレーは食べないと、どの位辛いのかわからないのがたまらないっすよ。」この男は下田健一。自称幼馴染みのメガネがダサい男。メガネを取った顔は見たことが無い・・・?
「お前はいつもカレーばかり食べるのを止め・・・!!!」窓から弓矢が飛んできた!またヘリコプターか?青い機体の!
「下田!大丈夫か?」美香子はどうでもいい!しかし下田もどうでもいい筈なのに、私はなにを言っているのだ?
「アアァ痛いっぃ!」音のした方を振り向くと美香子の、脇の下から血が流れているように見える。大変ではない!軽傷だ!すかさず耳を澄ます。ヘリコプターの音が聞こえるといえば聞こえるが、聞こえないといえば聞こえない!多分例のヘリだ!ヘリを探そうと窓から身を乗り出す!
「カナメさん!やっぱり自殺を?」下田が引き止める!邪魔だ!自殺はまだだ!
「どこだヘリコプターは!」空ばかり見ていたが、下田が引きずるので視線が下がったその時、屋上に目が入った!屋上には弓を持ったジャージの人間が、まるで見せつけるかのように見せて、逃げていった!
「これぇ手紙が付いてル!!」美香子はもう回復したらしい。
「なんだ?貸せ!」ラブレターではないのが確かなので読みたいのだ!レンタルビデオ屋の更新手続きの知らせでもないだろう。そうレンタルビデオで借りられる旧作のミステリー映画なんかより、前代未聞の未知の世界への誘(いざな)いに違いないのだから・・・。

「うーむ!どうしたらいいものかだ。」
結局狙撃騒動は負傷者が美香子ということもあって、立ち消えとなった。というか私がそうした。なぜなら狙撃手は完全に狙い通りの位置に着弾したからだ。つまり美香子がパッと見勘に触るので、美香子がちょっと撃たれただけのこと。
美香子のことなどやはりどうでもいいので、私はカフェ(が)インしながら手紙の内容をもう一度読んでみた。
ー栗原田カナメ!人殺し!
そうだ!お前に挑戦状を!叩き付けよう!そうこれは!犯罪予告!
明日伊集院レイの!誕生日パーティが!マクトナルトのトナルトバスで行われる!
そう!そこで!伊集院レイは死ぬことと!なるだろう!
カナメ!貴様に!止められる!事はできるか!
未完にすることが!できるかな!

これは暗号文か?ビックリマークが多いが、これをなにかに変換するのだろうか?
しかし伊集院レイと言えば、名字そのままお嬢様だ。いつもサイドに取り巻きの女生徒を連れているが、そいつらに恨まれているのだろう!
「もう犯人が割り出せたとは・・・。さすが私だ・・・。」
あとは証拠だが無い。結局現行犯逮捕が無難といったところか。マクトナルトのトナルトバスとはファーストフード店の、マスコットキャラの名前を冠したバスの名前。そこは一時間1500円で借りられパーティーに、使用されたりするが人気がなく撤去の噂もある。なぜお嬢様の伊集院がそんなところで・・・。
まあいい。潜入する方法だが、私に似た生徒をぶっ飛ばして成り代われば良い。その手のことはやったことがあるからな。最良伊集院の死ぬところを見てから犯人を捕まえられれば良いのだが・・・。
おっと。違うぞ。私は伊集院のことがキライなんだ。ああいう高校生同士で主従関係を、作っているのが許せん!周りを不幸にしているだけの女!整形の噂さえあって吐き気がしてきた。追いつめられて、仕方なく整形しヘリコプターに、弓矢で撃たれて死んだ下高山が不憫だ!そう!明日のパーティー!私が伊集院レイをぶっ殺してやる!

翌朝私は近所のマクトナルトの前にいた。会場のトナルトバスは、メッキが剥げかけているレベルでは無く、剥げすぎて銀色のバスと化していた。元は赤かったのだろう。僅かに赤いペンキがチラホラ見える。
「いいさ・・・。このバス!伊集院レイの血で再び赤いバスにしてやろうではないか!」量的に無理だろう。しかしバスの運転席の窓に付いている、トナルトの鼻くらいは赤くできそうだった。
だがパーティー開始時刻の11時半まで2時間も早く着いてしまった。しかしパーティーなのだからもうちょっとマシな格好をしてくれば良かったかもしれない。今日私はジーンズに赤い半袖と、ボランティアでもしに来たような姿。まあ服は適当に奪うつもりでいるからなのだが。赤い服なのでトナルトバスに、寄りかかりながらどうやってどさくさに紛れ、伊集院をぶっ殺すのか思考を巡らせるのだった・・・。

何者かにナイフで刺された伊集院に、追い打ちをかけるようにナイフを押し込むような角度で、柄の部分に膝蹴りを叩き込む!それくらいしか思いつかずにいると100メートル先に横に並びながら、伊集院たちが歩いてきた。路側帯どころか車道を完全に塞ぎながら、並んで歩いているが迷惑なフォーメーションだな!私はそういう伊集院だから殺したいのだ!
「しかしアイツ顔がでかいな。顔はいいだけに輪郭と言うアダプターを取ってやりたいのだがな。」私は同情した。7人で歩いているが中心の伊集院が顔がデカく、外側へ行く程顔が小さい奴っていう並びになっている。偶然だろうが周りに嫌われているのか?しかし伊集院だけミニスカートで、ワンピースだが他の奴らは私のような格好をしている。青いワンピースに黒いミニスカートか・・・。青いワンピースを赤く染めてやる!私は当初の作戦を忘れ駆け出していた。
「ちょっと待て!」車道の真ん中で両手を広げ通せんぼする。
「なんの用かしら?どきなさ〜い。」伊集院の隣の前歯の欠けた女が、言葉を発した。言葉を喋れそうに無い知能に見えるのだが普通に喋っているようだ。私は耳は悪くない。
伊集院に目を向けると顎をさすりながら、この展開が終わるのを待っているだけだった。きっと手下の女に面倒を全てやらせるタイプの女だな。ちなみに伊集院は丸顔デカ顔で色が白いのはお嬢様的だ。目の釣り上がり方が純情ではないが、きっと生まれつきでは無いだろう。顔だけがウリのブラジルとのハーフなタレントに、似てる奴が居たような・・・。
「用件だけさっさと言おう!昨日私の元に脅迫状が届いた!弓矢で!内容は伊集院レイをそこのバスで殺すと言うことだ!それで私は伊集院レイをぶっ殺したいのだ!」ぶちまけた。自分の想いも添えてだ!
パチパチパチ!
いきなり伊集院が歯欠け女をカスタネットのように叩き出した!あまりに連打をするので、歯欠け女は気を失った!私には死んだようにも、見えるのはそういう傾向の思考の持ち主だからだろう!
「ヘヘヘヘへ・・・。ワタクシを殺すって?そうかいそうかい。しかし、この6対1でどうするおつもりかな?」伊集院はこういう喋りの奴なのか?意外とお嬢様は江戸っ子喋りがデフォルトなのかもしれぬ!部下を殺すほどの大物っぷりを見せつけられ、私はたじろいだがたじろい直すことに成功した!帰ってもすることはないのだ!
「とりあえず脅迫状を見せていただけませんかね?」一番右端の、優等生型メガネをかけた痩せ気味の女・・・。こいつ中々頭がいい。私は脅迫状を胸元から取り出し、丁寧に伊集院に渡した。伊集院は3秒で読み終え。
「へっ!アンタが噂の栗原田カナメか!?こんなだっけ?しかしさっきアンタ様は私をぶっ殺すと言っていたが、それはなんなんだァ?」しまった。覚えていたのか!
「それは伊集院レイをぶっ殺したい奴をぶっ殺したいのだの間違いだ!」胸を張って言う。更に胸を張った!これでどうにかなるだろう・・・か?
「まあいいよ。お前は人を殺せない目をしている!一人欠けたことだし一緒にパーティーしない?」一番左の三つ編みのソバカス女が急に喋りだした!今は伊集院が喋るタイミングじゃないのか?
「へへへ!それがいいなあ。名探偵と一緒なら心強い。私はパーティーさえできりゃいいんだ!」伊集院が纏める。理想的展開となったか?これで堂々と今回の件参加できることと相成ったのだ!しかし伊集院って意外といい奴なのかも知れんな。だが伊集院レイをぶっ殺してやる!笑い方がムカつくのだ!私たちはスクラムを組むかのように、ごちゃごちゃしながらマクトナルトへ入った・・・。

「そりゃ!」自動ドアに蹴りを入れた!開くのが遅いから私は自動ドアが嫌いなんだ!
「へへへ!頼もしいな。」伊集院はそういいつつ自動ドアの開いた長さが、ちょうど自分の肩幅になった瞬間ヌルリと首を突き出しながら店内へ入った。
「お嬢様!お待ちしておりました!」制服では無くタキシードを着た店長らしき男が叫んだ。かなりのVIP待遇らしい。私に言わせれば、顔がデカいから顔パスなのだろう。顔がデカいのは整形でむくれたという噂を思い出した。
「ササッ!バスへ向かいましょう!」さっきから一度も喋ったことの無い手下が口を開いた。こいつは最初の事件で、顎が尖りすぎて殺された増川の顎に顎が似ていた。さすがに事件のしそうな雰囲気が整いつつある。バスは店から5メートル程離れた位置に存在した。さっき寄りかかっていたから知っていたが。その隣の空き地にはショベルカーが二台置いてあるのが見える。
「あれショベルカーが気になるようね・・・。このバス明日解体されるの・・・。」今度はフレームの殆ど無いメガネの手下が口を開く。うーむ、私も中々の美形だがこいつも違うベクトルの美しさがある。まだ喋ってない手下二人はもうカス、カス!もうなんか片方はえーと茶髪でもう一人は七三とかそんなん!この二人はもうこの事件に関わってないと思っていいだろう。こんな雑魚が私の事件に関わるなどつまらないにもほどがある!!
「へへへへへへ!へへン!どうだい!私のチカラは?最後の日に貸し切り事などたわいもない!」
「そう・・・。通常の料金の50倍は支払ったと推測されるわ・・・。」フレーム無しメガネ女がそういうと、伊集院も自慢げに「さすがメガネ!よく推測したな。ヘヘッへ!カナメさんよ?こんなに能力高い奴をぅ手下にしていて凄いだろう!」凄いだろう?幼稚園児レベルの台詞だ。なんだかバカさに哀れに思えて、興味がフレーム無しメガネ女に移っていた・・・。
「あなたの名前は!?」ヤバイ!テンションがおかしい喋りになった!レズビアンと勘違いされるか?
「私の名前・・・。橘矯子(たちばなきょうこ)・・・。職業高校2年。あなたと同じね・・・。」職業も同じだった。なにか同じタイプの人間を見つけ浮かれた私は、伊集院や事件のことを忘れてパーティーに没頭したくなってきた。だが杞憂もある!同じタイプはいいが能力も互角となると名探偵の座が危うい!名探偵のバトンを渡すわけにはいかない!身長も私と同じようだし、卵型とも丸顔とも言えるのも同じ!違うのはメガネだけかも知れない・・・。しかし下だけ赤いフレームでレンズ支えるバージョンメガネに勝るものは無い!メガネは私の圧勝だ!!!
「お前等なにしてんだ?さっさとバスに乗れよ!」雑魚のどっちか(多分茶髪)が言い放つ!バカじゃないの?私に向かってなんという口の利き方だ!雑魚のことなのですぐ冷静になり、二人で一緒に乗り込んだ瞬間耳元で橘が囁いたんだ・・・。
「脅迫状の字・・・今の子の字に似てたわ・・・」やったぁ事件解決なのだ!?
「おい!ちょっと待たないか?」まずい!いきなり入っては、何が仕掛けられているのかわからん!ああっ!橘と、もみくちゃになりドアのところに嵌ってしまった。
「おいおい、なにやってるんだ?ほれ掴まれ。」茶髪の犯人(?)に引き上げられバスに入る。
「よーしへへへ!みんな座ろうかぁ!当然のことだけども、私のおごりだからな!なんでも頼んじゃって!」伊集院が仕切りだした。バスの中は真ん中にテーブルがあり、それを四方からソファーで囲んでいる形だ。すかさず伊集院の正面に座った。橘は私から見て左方にややポツンと座り、残りの雑魚どもは伊集院と同じ列に並んでいる。やった!犯人の茶髪は伊集院の真隣に座っているじゃないか。刺し殺すんだか、毒殺するんだかわからないが至近距離は最高のアドバンテージだ!
「ハッペーセットのフィッシュのポテトLのコーヒーの組み合わせを頼みたい!」ハッペーセットにしといた!
「ビッグマクト!」「メガマックスマクト!」「抹茶シェイク!」どんどん食いたいものを叫びだす雑魚達!しかし同時に言うのでうるさいだけだ!
「ハッペーセットのフィッシュのポテトLのコーヒー、ビッグマクト6つ、シェイクはバニラを除いた全種類、メガマックスマクト2つ、ポテトS3つM1つL5つ、マクトナゲット2つ、フィッシュナクト1つ・・・」いつのまにか橘が備え付きの受話器で注文している!
「どうだ!?カナメ!これが橘の基本的な知能の高さができるわざと言う奴よ!へへへ!」あーそれ私もそのくらい出来るが?そんなことよりハッペーセットは私だけか。奢りなのだからチマチマしたセットを頼むことは無かったな。しかし犯人がわかっていると逆にドキドキすることを認識しはじめた。茶髪の動向を探りつつあえて!七三の雑魚の動きも一応観察する。私の視野は結構広いのだ。
「ササッ!みなさまケーキが控えているから、あまり食べ過ぎないように!」顎女だ!こいつ文脈関係なく’ササッ!’っていうタイプなのだろう。なんだかこいつがササッ!と伊集院を顎で刺し殺すのもありうる!
「レイ様。三組でなにやらレイ様を陥れようとしている動きがあるようです・・・。」ソバカス女だ。三組とはうちのクラスだ!三組にそのような動きは無い!こいつは嘘つきだな!こいつも要チェックだ!
「さすがカナメ・・・。犯人を教えてあげたのに油断せず、全ての動向をチェックしているなんて・・・。」橘が近づいてきた。囁くような声は私を責めているようでは無く普通だった。「そう・・・。私は脅迫状は見ていない・・・。さっきのはあなたのメガネ探偵としての、力量を見せてもらうため・・・。」探偵では無くメガネ探偵といい表す所が、ますます物事をキチンと捉えている子なんだと思い知らされる。この女、私の世界へ引き入れたいぞよ!
「嘘はいけないな。だが!お前ポテトのLしか食べて無いじゃないか。もっと楽しめ。不思議ちゃんを気取りたいのもわかるが、はしゃいだところで能力に裏付けされた、お前のキャラがぶれることはないだろ。」応援していた。しかし私は見誤っていた・・・。本当に注意すべき人物に心を許しまくっていたのだから・・・。

パーティーは結局食べながらダラダラする流れとなった。みんな携帯を弄ってメールしたりしている。「ムゥ〜」橘の携帯だけ私と同じスマートフォンのようだ。しかし橘の方が最新型のようで負けた気がしたというか、負けた。ただ私は買い替える金はある。引越しが面倒なだけでやらないだけ。
「へへへへへ!へへっ!」伊集院の奴、橘にタバコの火を点けさせやがった!バスの窓はカーテンが閉められていて外から見えない無法地帯となっていた。
「どうだカナメ?お前も一本どうだ?高いんだぞぉ。」安かろう高かろうどうでもいい。私はそんなもの吸うことも無く死にたいのだ。いや死ぬ寸前に最初で最後の一服としゃれこむのも考えておこう。
「遠慮しておく。最初で最後にしておきたいのでな・・・。」「?」伊集院は諦め今度は卒業後の進路について語りだした。
「へへへ。私は卒業後は会社を起こすと父上と約束している!どんな会社か知りたいか?」どうせしょうもない会社なのだろう。むしろ気になった!まあどうせ黙っていても勝手に喋るんだろう。
「聞けへへン!今橘と企画しているのだが、Facebookが日本で苦戦してるだろ?つまりSNSサイトを基盤とした会社!ゲームもできたりへへへ恋愛もぉぉぉほ。」安易だが橘が頭脳ならば成功してしまうだろう。しかし私にはSNSサイトは必要ない。毎日が事件でそんなものやってる暇がないし、これからもそう願うぞ。橘の方を見ると相変わらず何を考えてるのかわからない顔。もしや伊集院社長と秘書橘は体でも繋がるのだろうか?変態伊集院め、ぶっ殺してやる!奴への怒りが再燃してきた。
「ハッピーバースデートゥーユー!バースデーケーキでーす!」
車内に歯欠け女が入ってきた!こいつやっぱり生きていたのか、どうでもいい。奴は直径1Mほどのケーキが入りそうな箱を持ってきた。デカ過ぎる気がするが、顎女がファーストフードを控えるように言ったのは納得がいく大きさ。
「へへへ!私が注文したケーキは、半分がチョコで残りがノーマルなケーキだ。どういう意味かわかるかぁカナメ!」さっきから色々投げかけるが勝手に喋るんだろう。黙っていてもつまらないので
「右目で白い部分を見て、左目で黒い部分を見ながらロウソクを立てると均等な位置に立てることができる。人間の目はそれぞれの目が全く違うものを見ると身体基本能力がアップするからだ!しかし伊集院・・・ケーキの前でそんなことをしてどうするつもりだ?」たまたま知っていたのでマトモに答える。
「へへへへ!さすがだ!この問いに答えられたのは橘とカナメしかいねーよ!私は甘いものが苦手なんでな。こうでもしないと食べられないのさ!」我慢して食べるためだったのか。太れば顔も余計でかくなるだろうし無理して食べることはないのだがそれがわからないらしい。「じゃー食べようか・・・」伊集院のテンションが急に下がった。甘いものが苦手なのは本当のようだ。ケーキの箱は蓋が被っているタイプで茶髪と橘(こんなことに橘を使うのか?)が片方ずつ持ち持ち上げた。「おぉー!」雑魚どもが異口同音している。私も箱からしてデカそうだったが、実物はマジで箱ギリギリの大きさだったので余計驚いたが黙っていた。ファーストフードにプラスこれでは、かなりのカロリーオーバーだ!774477が狂うことは許されない。私の私服は全部キチキチサイズなのだから。「うん?」よく見るとケーキの真ん中に時計のような物が置いてある。デジタル式で2.00と表示されたそれはなんなのだろう?
「?へへ?このデジタル時計はなにかわかるかぁカナメぃ?」わからない。だが数字がどんどん減っているようだ。
「これは時限爆弾・・・。あと114秒で爆発する・・・。」時限爆弾!?予告が今実行されるのだな。私はまず落ち着いた。しかし周りの雑魚どもは一斉にバスの出口でドアを開けようと試みる。
「ササッ!ドアが開かない!」顎女がガチャガチャやっている。そんな中、二人冷静なメガネがいた!そうそれは私と橘矯子だ!!
「こんなもの解除して見せよう!」「私が解除する・・・。」同時だった。まあいい。橘の能力を見たいという選択肢しか無かったので、橘に託すことにした。何故なら爆弾の大きさは横10センチの縦5センチだ。脅し程度の小爆発しか起きないのだから。それなのに奴らと来たらブルブル震えている。伊集院の方に目を向けると徐々に、この状況を楽しんでいるかのような顔つきになっていた。顔がデカいとわかりやすい!「譲ろう・・・」橘の喋り方とカナメの喋りのミックスのような声を出して、橘に託した。
橘は爆弾をケーキから引きはがすと、裏の蓋を空け赤いコードを素手で引きちぎった!「完了・・・。」数字は0.46で止まっていた。あっけなく解除されたが予想通りだな。さすが橘!だが私なら0.51で止められただろうけどな!
「岸川さん・・・持ってて・・・。」「えっ!いいですけど・・・。」体力が無いのか今の動きで疲れたようだ。ぐったりと橘はソファに倒れ込んだ。仕方が無いことだろう。しかし歯欠け女は岸川というのか。
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
何の音だ?耳を澄ます体勢を取ろうとしたが、気持ちだけにした。どうやら爆弾から音がし始めた。
「へへへ!解除されたんだ。パーティーの続きをやろうじゃないか!ケーキを食べるのがメインイベントなのだからぁ。」伊集院の声でみんなは気づいていない!岸川でさえ!
ピピピッピッピッピピーーーーーーーーーーーーー
耳を刺す音に変わり爆弾が小爆発した!!!!!!!
「あ・・・あ・・あ・!」岸川は普通のリアクションで気絶した。やはり大した破壊力では無いらしい。しかし橘はなぜ岸川に爆弾を渡したんだ?結果オーライ主義だから問いつめるつもりは無いが・・・。
「へへへ!さあ!パーティーを続けようでは無いか!」パーティーはその後普通に進行した。しかし伊集院がやたらノーマルな方ばかり食べるせいで、ケーキはチョコの方しか貰えなかったな。

「よしパーティーは終わりだ。今日は伊集院様のために集まってくれてありがとう!明日からもみんな伊集院様に忠誠を誓うのだ!」ソバカス女が終わりを告げる。しかし私は奴の、しもべではないのだが。
「へへ!どけどけさっさと出るぞ!」伊集院が先に出たがった。しかしドアの所で立ち往生している。
「うん?なんだ開かないぞ?このボロバス!」蹴りを入れるが全く開かないようだ。そういえばさっきも爆弾で騒ぎになった時も、顎女が開けられなかった。てっきり慌てていて開かないのかと思い込んでいたが、閉じ込められていた?そういやバスにはトイレもあるから、爆弾騒ぎ以外、外に出るわけもないし気づかなかった。
「そうか!これが犯人の狙いだな!閉じ込めたとなると犯人はこの中にいるということか?」密室にして逃げ場を無くし殺す・・・かなりシンプルだが確実な方法かもしれん!いやそうでもないがかなりヤバーい状態だ!
「ササッ!窓ガラスを突き破って逃げましょーう!」顎女が顎でガラスに体当たりだ!しかし窓にヒビが入っただけでどうにもならない!
「ちょっと待って・・・。外の景色が変わっている・・・。」橘は冷静だ!そして私も!!窓の外はどうなっているんだ!?
「どけ!顎!」顎女を蹴り飛ばし外を見た私は、人生で味わったことの無い恐怖を体験することとなった・・・。

「何処だ、ここは!」そう外の景色は変わっていたのだ。「全てのカーテンを開けろ!」茶髪がムカつく言い方で叫ぶ!雑魚の中ではこいつが一番ムカつくのだ!そして全てのカーテンが開いた時、私は具体的な死のイメージが湧いてきたのだ・・・。
「へ?これはショベルカー?」伊集院も顔が真っ青になっていた、真っ赤では無い!そうそこはマクトナルトの隣の空き地だったのだ!ハッキリいって、ちょうどショベルカーに挟まれる形でバスは停車していて、今にもショベルカーが襲ってきそうな位置と言える!
「説明しよう!」あーわかった。簡単な謎で一瞬で解けたのだ。
「キーポイントはあの爆弾騒ぎだな。あの騒動のどさくさに紛れて遠隔操作でエンジンがかかった!つまりあの爆弾は囮だったというわけだ!」いつものことながら名推理だな。謎が簡単すぎるのもあるのだがな!
「とにかくだっっっっしゅつするんだ!」茶髪はドア(引き戸アコーディオンタイプ)を開こうとするが、ビクともせず、指の全ての折り目から血が噴き出した!「いやーぁ!」どうでもいい!そんなものを眼中に入れている場合では無い!脱出など不可能ということは、次の突然起こりうる危機に対して身構えることだけすればいいだろ?私だけテーブルの真ん中に立った。多分一番安全ゾーンだ!「なんだなんだ?」伊集院と雑魚(茶髪と岸川以外)と橘もテーブルに上がってきた。真似をするな!
「なにしてるんだ!シネ!」蹴りを喰らわし伊集院と雑魚を弾き飛ばす。勿論橘には手を差し伸べるのだ!
「橘!教えてくれ?これからなにが起きようとしているのだ?」
「カナメ・・・。脅迫状の内容を思い出して・・・。」脅迫状・・・。そうだ!私があの文章の中で唯一違和感を感じた部分・・・!
-未完にすることが!できるかな!-
そう未完とは蜜柑(みかん)のことだったのだ!そうショベルカーはオレンジ色だった!!!!
「カナメぇ!貴様!よくも私の顔面に蹴りをいれてくれたなぁ!」伊集院かと思いきや七三が切れた。「とりゃ!」止めを刺して黙らせた。雑魚と揉めている画は必要ない!
「カナメ!なんでもいい!この状況を打破してくれや!」伊集院が低姿勢になった。きっとケーキのせいだろう。
「電話が通じない!!!!」茶髪が涙を流し、内股で崩れ落ちる。「もういい寝る!終わったら起こしてくれ!」ソバカス女は寝た!それぞれリアクションが違うが雑魚はやはりどうでもいい!ここは橘の出方を見るしか選択肢は無いのだ!
「備え付けの電話は通信障害を受けないはず・・・。」素早くその電話で、店内へ連絡を取る!そうだ店員はなにをしているんだ?「繋がったわ・・・」これで鍵かなんかで引き戸アコーディオンタイプのドアを、開けてもらい外へ出でさっさと帰るだけだ。
「へへへ、早くしてくれ!忘れているかもしれんが、命を狙われてるのは伊集院レイ!この私だ!」やはり誇らしげなノリで茶化す!「うるさいな・・・」ヤバイ!声に出してしまった!伊集院が私に顔面パンチを喰らわそうと飛びかかりかけたその瞬間!受話器がスピーカーモードに切り替わった音がバスに響いた!伊集院は間を失い転倒し、ケーキの箱の角にケツをぶつけた!痛そうだがこれでは死なないか!
「お前達はここで死ぬ!マクトナルトの店員だが、睡眠ガスで眠っているよ!そう私はバスの中にいるぞ!」ボイスチェンジャーか?女の声っぽいが・・・。いやそれより店員が眠っているのは期待外れで困ったぞ!いや待て・・・
「この中に犯人がいるようだな!橘!今の電話の声を逆解析で割り出してくれ!それでそいつをぶっ殺せば誰も死ぬことは無い!」橘なら耳で聞いてボイスチェンジャーを逆解析ぐらいできるのではないか?しかし・・・
「無理・・・。この声はロボット・・・。そうパソコンに打ち込んで作られたもの・・・。」事実だけを言う。だからどうしようとか、自分の考えを言うわけではないのか。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
地面が浮かび上がるかのような轟音が響く。急いで窓を見たがショベルカーは動いていない!一体なにが起きているのだ!?死ぬのは伊集院だとしても気になるのだ!
「ショベルカーのアームが動き出したぞ!」雑魚が一斉に同じ意味のことを叫んだ!しまった!私が見たのは黄色の方のショベルカーだ!振り返った!
ガガガガガガガガガガガガガガ
このショベルカー!バスをひっくり返そうとするつもりだ!先端がバスの下にめり込み、バキバキな金属音がしてきた!
「むにゃむにゃ・・・」七三は不気味に念仏だか何度か意味不明なことを呟く!髪型も不気味だがこいつは気持ち悪いかも?
「やめろ!私は伊集院レイだぞ!金ならいくらでもやるからさぁぁ!」伊集院はサイフから40万円取り出し窓に向かってぶん投げた!「金だ!」雑魚どもが飛び散った金に群がる!私も群がりたいが今はショベルカーの動きを見極めることが肝心なのだ!アームの動きスピードと曲がる角度を分析すれば、ある程度パーフェクトに攻撃を避わせる!そう橘も同じ考えのようだ。
「待てや!あのショベルカー!無人か!」なら金バラまいても意味ないな!さっきから騒がしい顔のデカいお嬢様だ!ぶっ殺しては駄目か?駄目だ!明日には忘れるような程度のムカつきだからな!
ガガガガガガガガガガガガガガガガ・・・ガン!ガン!ガンン!
音が変わった!ひっくり返すのが無理らしく今度は、上からガンガン叩き出した!このままだとアームに叩き殺される!
「このショベルカーの構造・・・。捻り叩き潰されるのわね・・・。」橘の言う通りアームは若干回転するようで、捻りING叩き状態でバスを潰しにくる!このままだと私が死ぬ可能性もある!しかし私のメガネは全く曇っていない!そうか、そういうことだったんだ!その時あっさり引き戸アコーディオンタイプのドアが開いたぁ!!
「カナメさん!遅くなって申し訳ないっす!」「大分ぅピンチぃじゃないのォ〜。」そこには下田と竹(美香子とも言う)がいた。しかし美香子の奴、下田の2メートルも後ろにいるのだが。
「お前達!私だけをさっさと助けてくれ!」私は橘の手を取り、雑魚を殴り倒し外の世界へ出た!
「どけ!へへへ!雑魚どもが!」伊集院が雑魚をとにかく蹴りで弾き飛ばしドアから飛び出してきた。なにげに七三だけ蹴りを避わしていたところを見ると、伊集院は意外と普段から蹴りまくってるようでは無さそうだ。結構礼節を重んじる女、それが伊集院レイなんだろう。
「カナメさん!怪我は?」下田がそれなりに心配そうに言い放った。
「私よりも美香子の怪我はどうなんだ?」意外と重症で死に至ればと期待している。
「アタシぁは大丈ブ!自然治癒で治った見たイ。」残念!自然治癒など人間に備わってなければいいのにな。
「どういうことなの?ヒーヒー・・・。」茶髪が涙声で聞いた。雑魚どもも無事バスから全員脱出したようだ。
「なーに簡単なことだ。下田はそこのロッデリアにずっと待機させていたのだ!」そうマクトナルトの隣にはロッデリア(ファーストフード店名)があったのだ。しかし下田を待機させていたのはそれだけが理由では無い!
「どうやらロッデリアは事件に絡んで無いようっすね。ショベルカーが動き出しても、全然店長とか外を全然見てなかったっすから。」
「なるほど。あそこのロッデリアはもうすぐ潰れると言う噂が会った。そしてトナルトバス最後の日に、なんだか知らんお嬢様もろとも、マクトナルトを潰すと言う線は消えたか・・・。」そういや伊集院がどの程度のお嬢様なのかあまり知らない。噂では兵器にまでを手を伸ばすほどの強欲な会社らしいが・・・。
「とにかく逃げる無いの・・・・?」橘がいいことを言う。「逃げろー。」ショベルカーは全員が逃げたことを確認すると私たちと同じ速度で追いかけてきた!うん?なにやら茶髪が伊集院に耳打ちしている。伊集院はそれを聞き安心決心ニンマリ笑顔で命令してきた!
「へへへへっへへへっへへへっへへへっへ!お前等黄色のショベルカーの所へ走れ!」またあの空き地に戻ると言うのか?私は凄い良い予感がした・・・。
「でもぉ何でぇアタシまで逃げなきゃ行けないノぉ?」美香子の声はノイズだな。もうどうでもいい。それより結局元の空き地に戻ってきた。ショベルカーもいつでも殺せるぞというようなスピードで、ぴったり追いかけてくる。
「へへへへへへ!そうだ!私がこっちのショベルカーに乗ればいい!残念だったらお前等!即ち安全地帯はあの中だ!私は乗って操作ができそうならオレンジのと戦うかもな!だがショベルカーで逃げるのもいいぞぉぉ!」しまった!安全地帯があったのか!後悔しても遅かった。伊集院はもう安全地帯まで30メートル!私たちは60メートル!幾ら高速で動いたとしても追い抜けないっていうか、伊集院は結構足が速いのだ!
「へへへ!ひょーーー」たまにジャンプするほどの勢いで伊集院が駆けていく!しかし体が宙に浮いたその時!!!!
キーーー!グシャ!
伊集院の体に首はついていなかった・・・・。黄色のショベルカーのアームが動いたのだ!そうそれは罠だった・・・。
伊集院の首が私の方に転がってきた・・・。
「栗・・・原田・・・カナメ・・・人殺しだ・・・へへ・・・うぉっ!」血を吐いて息絶えた。胴体の方は数歩歩いて倒れたのと同時だったかも知れない・・・。
「アアアアアアアアアアアアア!」聞こえない声で叫んだかも知れない!膝を着きたく無いのに着いてしまった。こんなパニック状態なのだから痩せるかも知れないがそんな大事なことさえどうでもいいこと!
「伊集院さんが死んだ!」雑魚どもが喜んでいるのか悲しんでいるのかさえわからない。自分のことで精一杯だ!
「そうか!俺はこういうの平気だけど、カナメさんは今までここまでキツい死体を見たことは無かった!いっちゃ悪いけど、探偵ごっこからはみ出していなかったんだ!」下田!そんなことはない?わからない、動けない。うずくまって丸くなっていく私だ!
「その程度なの・・・栗原田カナメ・・・。」橘が聞こえないようにいったが聞こえたぞ!
「なんだこの女は!」やや立ち上がれろうとする「そうだ!私はこの女が気に入らない!私よりこいつが解決できそうなのが許せない!そして美香子はもっと嫌いな女だ!」「酷いぃ!」美香子の話でオチを散らさないと冷静でいられない!でも駄目だ!また膝が崩れ落ちてゆく!
「ああああああああああああ!」これを5回繰り返した!
「カナメぃ!ショベルカーがぁぁあ!」美香子の語尾が上がった。そうか・・・。私も伊集院と同じように殺されるのか?いやあんな死に方をするためではない、ああいうのを見るために私は探偵になったのだ!本当に殺したい奴を殺してはいけないホウリツって奴?そこをかいくぐれるような出来事に出会うタメに!

崩れた膝が元に戻っていく!靴下を上げてみた。しばらくは下がらないくらいに!私は完全に立ち上がりジャンプで1センチギリギリで、ショベルカーのアームを避わした。ショベルカーは大空振りのせいでよろめいてややフリーズしている。
「これは・・・!レベルアップっ・・・!?」橘の割に大きな声だな。そういうのちょっと格好わるいよな。
「もう私はずぅーと探偵でいることに決めた。止めたく無い、止められないからな!」大きく息を吸った。
「今の私は、八重歯が永久歯だと勘違いしていて、それが乳歯だったから急に抜けて驚いたが、綺麗に永久歯がそこに生える予感を確信した中学生より希望に満ちている!」私の歯に八重歯などあったことはない。だが世界がクリアに見えた今、どれほどの希望か明確にわかったのだ!
「どういうことぉ?下田ぁ?」「わからないよ!」立ち上がっただけでなにを騒いでいるんだ?なんだ?メガネがやたら食い込んでくる!未知の状況のメガネのことでザワツイているんだな!やばい!メガネが今かけているのに、たたまれようとしている!そうこれはいつもの奴の強化バージョンなのだ!
「カナメ・・・、ヒントを上げるわ・・・。リモコン・・・。」リモコン?リモコンと言う言葉に私のリップがオートで動き出した!
「リモコン!そうださっきからヒリヒリするのは、電波を感じていたのだ!髪の毛が 少し逆立つ ヘアスタイル、字余り!そうバスもショベルカーも遠隔操作なら、簡単に私が犯人を割り出すだろう!この事件あと968秒以内に終わる!」伊集院の生首を見ないように、斜め上を見て言う。ショベルカーはさっきから様子を伺っているのか動きはしない。
「以前と違って大分細かく正確になってんすね。」下田の言う通りかもしれん!これがレベルアップというものだ?
「下田ぁ!ブレザーを貸せ!投げろ!」今こそ一つになるとき!「ハイ!」下田は抱えていたスポーツバックからブレザーを取り出し天高く投げた!ブレザーが空から舞い落ちてくる!「ヘァア!」大二段ジャンプだ!
「空中でブレザーを着るなんて・・・。」橘も流石に驚いたろう。私も初めてやって、初めて成功したのだ!
「左足から着地だ!」そのとおりそうやって着地した!すかさずブレザーのポケットから携帯(スマートフォン)を、取り出し自作のアプリを起動した!
「うわぁぁぁ!」「携帯から電流がぁぁ!」私の周囲にある携帯電話に全てに電流が流れる!そう逆探知だ!私は自分の携帯を右手で突き上げた!今の状態なら天気さえ操ることも出来るだろう!10秒程それをやって解析完了!
「ショベルカーと繋がっていた奴は誰なんだろうなぁ!」画面を見た。そこに表示されていたのは・・・。
「桜田リサ・・・?誰?」私はコケた。
「桜田リサ!」茶髪が七三に蹴りを入れようとしたが、空振った。七三は早足でオレンジのショベルカーの運転席の上に登り仁王立ちした!こいつが犯人か!
「まいったまいったまいったまいった!まさか携帯の電波から辿られるとはな。橘と同じ機種のスマートフォンだから、橘ごと葬る計画も今となっては難しいよ!」よかった。橘が犯人じゃなくて。結構テンションが下がった。
「とりあえず。」黄色の方のショベルカーが猛スピードで、伊集院の胴体をキャタピラーで引き潰した!
「どうするカナメ!犯人がわかったところで二つのショベルカーに勝てるのか?レベルアップ?どうやらレベルが経験値が足りないようだな!」七三の髪がなびいて吊り目が露わになってきた。こんな顔か。
「えーと・・・。雑魚の誰だっけ?桜田?もうどうでもいいんだよ。さっさとシネ!」桜田なんだっけ?スマートフォンでまた違うアプリを起動させた。「うるさい!いけ!黄色のショベルカー!」あいつ声が早くも枯れてきているぞ!しかし黄色の奴は全く動かない。「どうしたんだ!クソ!」奴も携帯であちこちタッチしまくる!
「まだわからないのか?私のアプリがお前のアプリを乗っ取っているんだよ!そろそろそっちのショベルカーもこっちの携帯で操作できるようになるぞ!」いや、実際の所無理だ!あいつもリアルタイムでセキュリティを弄ってきている!私のハッキングAIでは一台はどうにかなるが、二台は難しいと推測された。しょうがない!マニュアルに切り替えだ!
「アレぇ?あいつら携帯でメール打ってるノぉ?」美香子!なんで雑魚と私がメール交換を今しなければならないのだ!
「事態が膠着(こうちゃく)状態になってんぞ!」茶髪が野次る。そうだな!私もさっさと帰りたい!
「いい加減にシロ!伊集院なんて死んで当たり前なんだ!あいつの会社は私の父の会社をあえてぶっ潰した!そして六四だった髪型を七三にしろと命じたんだ!」立派な動機で納得!しかし橘がやれやれといった様子で語りだした。
「それは違う・・・。伊集院は潰れかけていた桜田カンパニーの借金を肩代わりしただけ・・・。ヘアスタイルの件も七三にしたほうが、目の上の黒子が隠れるから・・・。」逆恨みだ!
「そんな!橘お前を殺す!」桜田の乗ってるショベルカーが橘に向かって走り出した!今がチャンスだ!セキュリティが緩んだ好きに黄色のショベルカーを電波ジャックON!私は黄色のショベルカーのアームをマクトナルトに向かって振り回した!「バカが!方向が逆だぁ!」バカは貴様だ!
ピュー!ドス!
私のショベルカーのアームが、マクトナルトのMの字の看板をむしり取り、オレンジのショベルカーに投げつけた!
ビリビリビリビリビリビリっっ!
「バカな!」そう看板はショベルカーの運転席に突き刺さった。これで多分もう動けないだろう!
「まだだ!まだバスが残っている!」そうかトナルトバスもなぜか移動したのを忘れていた!
「諦め悪くなぁイ?バスでショベルカーに勝てるわケないジャン?カナブンとカブトムシが喧嘩したラァ、カブトムシが絶対勝つヨォ!」バスがカナブンってことか?美香子の例えはわかりづらい!
「もう諦めた方がいいっすよ。」下田も手を組んで頭の後ろに当てるポーズを取っている。大分みんな飽きてきたか?
バババババババババババババババババババババババババ!
「ヘリコプター・・・。結構青い機体・・・。」見覚えのあるヘリがやってきた!だがやはり誰が見ても結構青い機体だ!!
まずい!また殺されてしまう!救いたい気持ちはレベルアップした私にあるのだろうか?つまらぬ勘違いで暴走した桜田なんとかさん!六四に戻せたら善の道へ行くのでは無いか?
「ヘリの中に弓矢を持った人影が!」さっきからよく喋る茶髪が言い放つ。視力が良いようだ。「間にあえぇ!」全力でショベルカーをハッキングする。
「なんだあれは?私を殺そうとするつもりか?クソ!アームだけでもハッキングできれば、なんかどうにかなるかもぉ!」相当桜田は焦って携帯がすっぽ抜けた!「キャハハハハ!」だれが笑ったんだ?
「カナメさんがちょっと笑った!初めて!!」下田が普通に腰を抜かした!私がちょっと笑った?なにが起きているんだ?それよりヘリから、弓が発射された!
カキーン!
余裕で私が跳ね返した!オレンジのショベルカーのアームをハッキングして・・・。
「そっちをハッキングするとは・・・。栗原田カナメ・・・。面白い子・・・。」橘もちょっと笑いそうか?まさか!!
「助かった・・・。」桜田が崩れ落ちる・・・。事件は終わった・・・。私が完全解決したのだ!その瞬間!
ドカーン!!!!
桜田の乗ってるショベルカーが小爆発した・・・・・・・・・・・。私の投げたMの看板の電流がショートしたのだろう・・。

「桜田が死ななくて良かった!良かった!」久々に後味の良い解決だった。そうあれから三日、休日を挟んだりして久々にいつものメンバー(下田、美香子)と一緒に学食でランチをしていたのだった。だが奴らはまたカレーか!私もうどんだが!
結局桜田なんとかはあの小爆発で気絶し、事件はあっさり収束したかに思われた・・・。
「首がぁ無かったんだよネ?」そう、伊集院レイの首はいつのまにやらどこにも無かった。デカいからすぐ見つかる筈なのに、だ!
「しかし伊集院の葬式。二組のクラスメイト全員来てたそうっすよ。殺されるような酷い奴じゃないってことなんすかね?」カレーが甘いのか下田はそんなことを言う。
「殺されルような子だったらぁ、マクトナルトぅのバスなんて借りてパーティーぃナンテェしてくれないヨォ!」手下属性があるのか美香子は鋭かった。
「お久しぶり・・・。栗原田カナメ・・・。」橘矯子!こいつ学食か!しかもカレー・・・。
「そういえばお前は何者なんだ!」体はフリーズだが気持ちは詰め寄った!だが
「『そうだ!私はこの女が気に入らない!私よりこいつが解決できそうなのが許せない!そして美香子はもっと嫌いな女だ!』ってこの前言ったの許してくれ!」ぶっちゃけた。
「なんのこと・・・。レベルアップする前のことなんて、謝ること無い・・・。」どうやらレベルアップすれば色々チャラらしい。
「しかしあれだ!私は初めて命を守った!それが例え雑魚の桜田なんとかって奴でもだ!しかしなぜ気持ちがいい?なぜ食欲がある?桜田なんとかって人殺しだ!これから奴はホウリツでダラダラ裁かれるだけだ!私の倫理が殺しておけば良かったと囁いているんだが!」本能とやってることが未だに噛み合ない・・・。
「それは私にもなにも言えない・・・。」橘がそういいながら、半分程食べた私のうどんに自分のカレーのルーを流し込んだ!「カレーうどん・・・」そんなもの食べたこと無い!「これがレベルアップっすよ!」そうなのか?
「それでは人生初めてのカレーうどんを食べさせていただきます!」冷めて来てるから一気にいった!
「辛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」「私のは激辛カレー・・・。」
私はレベルダウンした気がした・・・。


メガネケースVOL.3
「レベルアップ!されども栗原田カナメは笑えないの巻」
  完

メガネ女子高生ブレザー探偵カナメ メガネケースVol.3

6日間かかりました。
初の長編?

メガネ女子高生ブレザー探偵カナメ メガネケースVol.3

うどんを間食したカナメ。 さすがに次の事件まではインターバルがあると思いきや。でも無いかも。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 青年向け
更新日
登録日
2012-06-22

Copyrighted
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