砂利船

またしても、
気の遠くなる
砂の堆積。

萎んだ手毬は、
海辺の小屋の片隅で、
我が幼年期の、
記憶を留める。

白き砂の抜け殻を
踏みしめて
さらに、遠い記憶を呼び覚ます。

赤錆びて、
捨てられた
砂利船に、
纏いつく海藻。

激しい陽射しが
白いペンキの
窓枠を這う鉄の痕跡は、
赤茶けた子供の絵の具

そうして、
傾く太陽と、
崖に落ちる深き影が、
比類なき、安らぎをもたらす。

ここに、再び、
暗闇に聞こえてくる
波の音のみ。

砂利船

砂利船

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-06-22

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