君の声が聞きたくて

君の声が聞きたくて手を伸ばした
何もつかむことなく空中で虚しく落ちる手
君の声が聞きたくて何度も君を願った
何も得られることはなくまた何度も絶望に墜ちた

君の声が聞きたいよ
あのとき、僕らがしていた会話も
二人で通ったあの抜け道も

子供の僕じゃもう何もできなくて

震える声と手を伸ばした
遠ざかる背中を追いかけてもたどり着けなかった日


あのとき、君は泣いていたんだっけな
僕はただ立ち尽くしているだけだった

君の声が聞きたくて今日もまた願います
これから先君を思い出して虚しくなっても
空っぽな心に胸が苦しくなっても
小さな可能性に夢を託して

今日もまた君の声を思い出す
軽やかで涼しげな君の声を

君の声が聞きたくて

君の声が聞きたくて

別れに振り回される少年と少女

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-28

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