電気の紐
オカルト話、あんまり怖くないよ。
私が手を合わせていると、電気の紐が揺れる。
ここからちょっとだけオカルトな話だ。
といっても怖くはないのでご安心を。
私が仏壇に手を合わせていると、婆ちゃんが「見てみい、爺ちゃんが来とるわ」と、電気の紐を指さした。
私はその紐が風もないのに揺れているのを見て、「うわあ、嫌だなぁ」と思った。
元来オカルトは嫌いなのだ。
でも守護神かもしれないぞ。そう思って「今度の宝くじ、当ててください」と紐に向かって拝んでおいた。
しかし、宝くじは当たらず、夢の中で爺ちゃんが「見てみい、当たったぞ」と馬鹿にしてきて腹が立った。
霊にまでおちょくられるとは、これはいかに。
その話を親族が集まった席でしたら、「お前は霊にすら舐められとんのか」と母がいやに受け、爆笑していた。
他もまたしかり。
もうこれは、私はそういう役回りの人なんだと思うしかない。お笑い担当なんだと。
以前は一方的に、従姉妹の中で爺ちゃんが夢に出てこないのは私だけだと捻くれていた。
しかし、最近じゃこんな調子。
「爺ちゃん、あんたが来たから喜んどるわ」
婆ちゃんもこんな調子。
紐はぶんぶんと大きく旋回している。
お笑いかよ。
そう思いながらも、「爺ちゃん宝くじ当たんなかったよ、嘘を教えないでください。虐めないでください」とお願いしておいた。
犬が今月も健康診断、6歳になるのに「腸年齢4歳くらいだったよ」と獣医さんに驚かれ、この健康なのが先祖からの恵みかもしれないぞ、と私は健康に感謝した。
そうそう、私も精神病を患っていたが、長らく苦心した末、ようやく光明が見えてきたのだ。
夢なのか現実なのかわからない夢を見て苦しむときもあったが、知啓があり、ようやくすべて嘘だと見破った。
途端、病は消え失せた。
爺ちゃん、健康をありがとう、ついでに財運もつけてくれ。
そう願って、ゆらゆら揺れる紐にお願いする。
犬が不思議そうに紐を見上げている。
これマジな、オカルト話。
ちょっと笑えるでしょ?
電気の紐
ちょっとマジです。