あの日のさようなら
電車の窓に顔をくっ付けて、
発車のベルがなっているよ。
君のひとみに、この町のお城が見える。
そしてまた、あの日のように、流れ落ちている。
瑠璃山から、眺めた五重の塔が、
今日も見えるだろう。
今度、戻ることがあれば、
もう一度いけるだろう?
さようなら
僕の町。
さようなら
君。
でも、君はもう何処にもいない。
校庭のはずれから登れる小径を
いつか教えてくれると言っていた。
探すよ。
君がいるどこか。
それから、約束した時間を登り始めたよ。
あの小径に隠れて、君の影が、
昔のように、僕を見つけてくれる。
なのに、ふと記憶が途切れると、
君と、もう一人、
あの風景を見ていた誰かが、
僕の隣で眠っているようだ。
さようなら
僕の町。
さようなら
君。
あの日のさようなら