冒険

折りたたまれた傘の
水玉模様に張り付くテントウムシ。
忘れ果てた記憶が、陽に輝きながら
羽を羽ばたかせ、消えていった。

金木犀の葉っぱにも、
君のためにとまっていた
短い時間。

雨が降り
庭の水たまりの脇で
砂利に吸い込まれ、
蟻の巣を崩してしまう。

二階の窓から飛ばした紙飛行機が、
雨に濡れて庭の池に落下する。

蟻の行列が金木犀の向こうに延びている。
きっと、終末が
時が止まる場所を知っている者が、
じっと隠れている。

蟻の行進させている『永遠』が庭の片隅で待っている。

冒険

冒険

  • 自由詩
  • 掌編
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-06-20

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted