旅衣 /今はなきごぜの人々に捧ぐ

我が傘に 

春は桜の花の舞

夏の陽炎(かげろう)さすなかに

秋は紅葉の暮れし野を

冬雪深き山路をば 

超えて見ゆるは宿灯り

背の荷をときて 見る夢は

眩しき弥陀の浄土かや


指を背に

(つら)ねて村をば巡り行き

三味(しゃみ)に合わせて門付(かどづ)けの

唄うもゆかし(いにしえ)

習い覚えたごぜの歌

合わせて家の(さかえ)をば

祈りて浮世の旅衣(たびごろも)

(あゆ)み行くてに 光やささん

旅衣 /今はなきごぜの人々に捧ぐ

旅衣 /今はなきごぜの人々に捧ぐ

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-24

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