フォーカス
わからない。
なにがわからないのか、それすらも。
わからない。
じぶんがなにに、そんなになやんでいたのか。
おおきなこととだ、と、おもっていても。
ときをへれば、ちいさなことであった、と。
そしてまたときをへれば、やはり、おおきなことであったのだ、と。
それはものごとの、おおきいちいさいではなく。
あたまのなかのきかんしゃに
つぎつぎとせきたんがくべられ
もうすぴーどで、はしりだす。
そうして、もう、
なにもみえない、
きこえない。
みえるのは、せんろのはるかぜんぽうの、
1てんだけ。
まわりにどんなに
うつくしいふうけいが、
うつくしいはなが、
ひろがっていても。
はるかこうほうにとおざかってしまった、あのえきで。
やさしくしてくれたひとが、
あいしてくれたひとが、
まもってくれたひとが、
いまでもけんめいに
てをふっていてくれていることにも。
きづけずに。
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