Deathしてエスパーになる話 01
初めまして、初作品なので至らないところもありますが、読んでいただけたら幸いです。
あなたは、『超能力』『特殊能力』を信じますか?
「……つまんなかったな……俺の、人生……」
自分の血で真っ赤にそまる手を見ながら、諦めまじりにこぼれた。
「ゴホッゴホッ……痛ってぇ……」
血を吐きながら、下腹部に手を添える。血がにじみ出て、激痛がはしる。
出血や、痛みのせいから等々立っているのが辛くなってきた。
床に倒れこみ、意識が薄れていく。
「せ、せめて……君だけでも……」
近くに、自分と同じように倒れている『彼女』に手をのばす。
……あと少し。
……しかし、手が届く前に意識を失ってしまった。
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1,〈デスパーofデス〉
朝。部屋の中に光が差し込む。雀の鳴き声と共に、ゆっくりと現世に意識を戻す。
いつもの部屋。いつものベッド。いつもの天井。いつも通りの光景の中、頭上にある目覚まし時計に目を向ける。
ー9:30ー
うむ、今日という日に起きられたことを祝福しよう。いつもの日々を過ごせることに感謝しよう。
……と、現実逃避は置いておいて頭上の時計をもう一度確認する。
「……何度見ても9時半か……遅刻じゃねえか」
そう、現在絶賛遅刻中なのである。高校1年生である俺は、月曜日である今日、本来ならば学校に行っている時間なのだ。
「……とりあえず、支度しよう」
まだ眠たい体に鞭うって、なんとか体を起こした。
学校へ行く準備をし、部屋に鍵をかける。寝泊まりしているのは学校の寮なので、特にこれといった戸締まりもない。
俺が通っている『呰二々区学園』。普通の高校と比べ少々広い敷地に、点々と学生寮を構えているこの学校は、進学校として有名である。さらに、とある新技術を取り入れていることとしても世間に知られている。
その技術とは、学生全員の右手の甲にデジタル時計の表示ができる技術だ。難しいことは知らないが、なんでも新技術のテスト版らしく、時間を表示させる以外に性能はない。
確かこれは、入学当日に右手に何かを埋め込むのか注入するのか、とにかく何かしているんだとか。
と、そうこうしている間に呰二々区学園に着いた。
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学校に着き、クラスに入ると同時に教師に後で職員室に来るように言われてしまった。
教師の説教をなんとか耐えつつ、気付けば放課後である。しかし、俺は6校時の間に寝てしまったようだ。起きた時には、既に教室には誰も居なかった。一人を除いては。
「あら、起きたの?佐々木君」
「ああ、ちょっと昨日夜更かししちゃってな。木下は学級委員の仕事か?」
「ええ、そうよ」
そう、俺の名前は佐々木空。そして、彼女の名前は木下ゆかり。このクラスの学級委員である。黒髪セミロングで、容姿も中々いい。あと、胸が大きい。成績がよく、木下のことを悪く思っているやつなんていないだろう。
「へえ、夜更かしね。ちゃんと寝ないとダメよ?」
「ああ、ご忠告どうも」
そういうと俺は、鞄をとり席をたった。
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教室をあとにした俺は、学校の廊下を歩いている。
そこで、ふと校庭に目をやると、生徒の誰かと誰かが喧嘩しているようだった。あれは、サッカー部のやつらと野球部のやつらか?
ここ呰二々区学園は部活においてもかなり盛んであり、数多くの部活が存在する。まあ、その中にはレギュラー的な部活から、ここにしかないようなイレギュラーな部活まである。もっとも、俺は部活には入っていないんだがな。
学校からの帰宅時に、特にこれといって予定のなかった俺は、なんとなく本屋に向かった。
「……お、これ面白そうじゃん。『退屈の魔女』か」
表紙に惹かれ、その本を手に取った。しかも、後これ一冊ときたもんだ。これはもう買うしかないと思い、レジにに持っていこうとすると、
「あ、あなたもその本がほしいの?」
背後からいきなり声をかけられた。振り返ると、そこにはうちの学校と同じ制服をきた女子生徒がたっていた。
「あ、いや、悪い。欲しいなら君に譲るよ」
そう言って、俺はその本を彼女に差し出した。
「あ、いえ、そんな……ありがとう」
「いやいや、俺はなんとなく目についただけだしな」
「あの、あなた名前は?私は月明萌衣」
「月明さんな、俺は佐々木空だ」
月明萌衣。平均的な身長に、長めの金髪を先端の方で1つに結んでいる。見るからに美人だ。あと、胸が大きい。これ重要!
「空君ね。あ、私も萌衣でいいわよ。私と同じ制服着ているけど、あなたも呰二々区学園の生徒なの?」
いきなり名前で呼ぶのか。正直なところ、俺にはこれといって親しい女子がいるわけではない。それこそ、俺を名前で呼ぶ女なんて母親くらいだろう。
「あ、ああ、そうだよ。呰二々区学園の1年C組なんだ」
「へえ、そうなの。私は1年のA組なの。同い年なのね」
その後は、他愛もない話をした。
そろそろ帰ると言うと、萌衣も寮学生らしく、一緒に帰るということになった。
本屋を出ると、既に辺りは薄暗くなっていた。随分長く滞在してしまったようだ。二人で適当に会話しながら帰り道を進む。
商店街を過ぎ、住宅が多くなってきたころ。彼女がこっちの方が近道と言い、路地に入った。通ったことのない道だったが、しょうがなくついて行った。あまり人気のない道を進む。
しばらく行くと、何やらしゃがみこんでいる人がいる。
どうしたんだ?こんなところで。
疑問に思っている俺を他所に、彼女が声をかける。
「あ、あの大丈夫ですか?」
返事はない。
萌衣が近づき、再度尋ねた。
「あ、あの大丈夫です……か……きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
彼女が叫んだ。どうしたんだ?俺は驚きつつ、萌衣に近づこうとする。
すると、突然しゃがみこんでいた者が萌衣に振り返って何かをふりおろした。
その瞬間、彼女が地面に倒れた。
「おいっ!!」
急いで駆け寄り、彼女に近づく。見ると、彼女の首元から血が流れ出ていた。
「おいてめぇ!なにしやがる!!」
彼女を切りつけたやつに殴りかかろうとした。次の瞬間、突然下腹部に痛みがはしった。いきなりのことに驚きつつ、痛みの原因を探った。すると、下腹部にナイフが刺さっていた。どうやら刺されたらしい。
痛みから声が出ない。それでも、刺してきた者の方を見ようとする。どうやら男性のようだ。ナイフをもう一本右手に持っており、上下黒い服を着ている。
男は、もう一本のナイフを右胸に刺してきた。声にならない叫びがでる。その後、男は走っていってしまった。
「……つまんなかったな……俺の、人生……」
自分の血で真っ赤にそまる手を見ながら、諦めまじりにこぼれた。
「ゴホッゴホッ……痛ってぇ……」
血を吐きながら、下腹部に手を添える。血がにじみ出て、激痛がはしる。
出血や、痛みのせいから等々立っているのが辛くなってきた。
床に倒れこみ、意識が薄れていく。
「せ、せめて……君だけでも……」
近くに、自分と同じように倒れている『萌衣』に手をのばす。
……あと少し。
……しかし、手が届く前に意識を失った。
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2,〈デスパーIt'sリピート〉
「はっ!?……」
意識が突然戻る。朝。日光が部屋にさす。息が荒い。右手を右胸におき、左手を下腹部におき確める。
穴は……空いていない?
体をゆっくり起こし、生きていることを確認する。しかし、どこを探しても傷1つなかった。
「夢……だったのか?嫌な夢だな」
そういいつつ、時計を見る。
ー9:30ー
遅刻だ。しかし、そんなことよりもあの出来事が衝撃的すぎてそれどころではなかった。
それでも現実は非道である。とりあえず起きて、学校へ行く支度をする。
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学校につき、いつも通りに教室にい向かう。席につき、授業が始まるのを待つ。
午前中の授業が終わり、午後の授業にはいった。しかし、俺はそこで寝てしまった。昨日の夜更かしが効いてしまったのだろう。
放課後になり、各々帰宅したり部活に向かう。まあ、俺は寝ているのだが。
「……ん?ああ、寝ちまったのか」
そういえば、夢の中でも居眠りしちまってたな……。
「あら、佐々木君起きたの?」
「ああ、昨日ちょっと夜更かししちゃってな。木下は学級委員の仕事か?」
「ええ、そうよ。用がないなら早く帰った方がいいわ」
おうと、適当に返事をし、俺は今日をでた。
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廊下を歩く。それにしても、あの出来事はやっぱり夢だったんだろうな。ホント、嫌な夢だぜ。
そんなことを考えつつ、ふと窓の外を見る。ん?またあいつら喧嘩してるのか?仲悪いのか、野球部とサッカー部。
学校を出て、家に帰ろうとする。しかし、特に何も用のない俺は夢のことを思いだし、本屋に向かうことにした。
「……本屋にあったのか、『退屈な魔女』の本」
それを手に取り、残り一冊だったことを確認する。たしか夢の中では、ここで萌衣に声をかけられるんだよな。
「あ、あの……あなたもその本がほしいの?」
「……んなっ!?……」
ま、まさか……萌衣!?なんで……。まさか、あれ正夢だったのか?いや、まさかそんなことはない。
「あの……大丈夫?」
「あ、ああ……ごめん。この本読みたいんでしょ?譲るよ。俺は佐々木空」
「え……ありがとう。私は月明萌衣」
やっぱりそうか。萌衣……まさか本当に実在するとは思わなかった。でも、やっぱり向こうは俺のことを知らないわけだし。所詮は夢だったってことか?
その後は、夢の時のように他愛もない話をした。しかし、その内容は夢と近いものの、完全に一致というわけではなかった。
薄暗くなった道を歩く。すると、ふと萌衣が足を止めた。
「ねえ、空君。こっちの方が近道だからこっちからいこうよ」
そういうと、彼女は人気の少ない路地に進んだ。そう、夢とまったく同じ場所に。
「ちょ、待って、そっちは……」
しかし、俺の言葉は萌衣に届かなかった。萌衣はどんどん進んでしまう。仕方なく、俺も後をついていく。 ……大丈夫だ。あれは俺の勝手な夢だ。あんなこと、早々起こるわけがない。
しかし、俺の期待とは裏腹に、やついはいた。上下黒い服を着た男が、道端にしゃがみこんでいた。
「あのー、大丈夫ですか?」
萌衣がやつに声をかけた。これはまずい!!
「萌衣!!」
俺は声をかけると同時に、彼女の肩を掴んで走り出した。
しかし、叫んでしまったのがいけなかった。やつは立ち上がり、こちらに向かって走ってきた。
「ちょっと空君、いきなりなに?」
「今は説明してる暇はない。とにかく逃げるぞ!!」
走りながら、やつの方を振り返る。すると、手にナイフを持っているのが見えた。
来た道を戻るつもりが、どこかで間違えたらしく違うところで曲がってしまった。
「くそっ、行き止まり!?なんでだよ!!」
すると、やつがふと足を止めた。ナイフを握りしめ、こちらにゆっくりと歩いて来る。薄暗いせいで、顔が見えない。
「ちょっとあなた、なんなんですか、私達のこと追いかけて。警察に通報しますよ」
萌衣がやつに近づいた。いけない、あいつは簡単に人を……!?
気付いた時にはもう、視界が赤一色で染まった。
萌衣の胸辺りを深く刺し、えぐり引く。彼女は声をあげられず、その場に倒れこんだ。
「おまえ!!またっ!!」
頭がパニックになる。あれは夢じゃなかったのかよ!!
しかし、相手は待ってくれない。ナイフを構え、こっちに突進してくる。俺は、反射的に左手でそれを受ける。すごく痛いが、死ぬよりはましだ。そのまま、男と壁の間をすべるように抜ける。よし、いける!!……待てよ。こいつ、確かナイフを2本……!?
気付いた時には遅かった。喉元にナイフを突き刺され、一瞬にして意識をもっていかれる。
くそっ……また死ぬのかよ。しかも、こんだけ痛いんだ。今回は間違いなく夢なんかじゃない。
しかし、見たぞ。あいつの『顔』を……。
俺は薄れ行く意識の中、萌衣の方をみる。また……助けられなかったな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……っ!?……」
生き……てる!?なんでだ!?俺は、死んだはず……。
「はぁはぁはぁ……」
息が荒い。ここは……俺の、部屋?また夢だったのか?
「いや、そんなわけない。これは……」
これって、俺、もしかして……。
「時間が……巻き戻ってる!?」
Deathしてエスパーになる話 01
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。01なので、続きがあります。この作品を一人でも多くの人にみてもらえば、私の支えになり、次作を出すことができます。その時は、また読んでいただけたら幸いです。