糸の先
運命の相手は、田舎育ちでした。
運命の相手に、会いに行ってみようかと思う。
我々の小指の先には、それぞれにしか見えない赤い糸が結ばれている。
大抵相手を見に行くと、「ゲッ」となることもあるので、大抵の奴は見に行かない。
しかし、高校を卒業した今日、どうしても何か約束されたものがほしくて、僕は会いに行くことにした。
電車を乗り継いで、田舎の方へ行く。
海沿いをずっと走り、浦島伝説で有名な天橋立に着いた。
そこも越えて、ずっと田舎の漁師町を行く。
ここら辺の街並みは綺麗だな。
そう思っていたら、ぴんと糸が張って、その子と見つめ合った。
運命の相手は、まだまだガキだった。
「お兄ちゃんは誰?」
そう無邪気に聞かれるので、照れた。
「この糸が、見える?」
それからは、素潜りを見せてもらったり、友達に自慢されたりして、やや返答に困った。
相手はとても無邪気で、元気で笑顔が可愛い。声がでかい。
「うちのをよろしく頼むでえ」
父親にそう言われ、いやあ、あははと若干照れた。
別れの日、「絶対会いに行くから」と力強くその子に手を握られ、花とプルタブの指輪を貰った。
僕はそのプルタブを小指でくるくると回しながら、帰路に着いた。
将来に対して、何か力強い手応えを感じている気がした。
糸の先
書きあがりました。