忘れられない。

忘れたくない男の子と、忘れてほしい彼女のお話。

なんで。

「ねぇ。何で忘れてくれないの」

「ごめん」

「早く忘れてくれなきゃ、私行けないんだけど」

「ごめん」

僕はごめんを繰り返し、彼女は忘れてを繰り返す。

ぎゅっと腰に抱き着いて、彼女の冷たさにまた涙が溢れてきた。

「ねぇ。遊園地に行ってさ、観覧車乗ったこと憶えてる?」

僕の態度に呆れてか、彼女はとうとう話を始める。
「、、もちろん。」

「あの時の、あなたが言ってくれた事。私ずっと考えてたの」

「うん」

「でも、私こんなになっちゃって、一時は諦めようとしたんだ。」

「うん」

「でもね、私やっぱり諦められなかった。」

「じゃ、、じゃあ」

「でもだめ。やっぱり私を忘れなきゃ、貴方は絶対に前に進めないと思う。」

僕は頑なに自分の記憶を忘れさせようとする彼女が段々憎らしくなった。

「僕は、、それでも僕は君を愛しているから、君を忘れるなんて出来ないよ。これは神様でも、仏様でも、まして君でも無理な事だから。」

そう、僕が今決めた。

「そう、それじゃあ分かったわ。」

「ああ、話は終わりだよ。」

見下す様な、悲しみに暮れる様な。そんな瞳で彼女は僕を見つめ返す。


刹那の光が目を塞いだ。

そして、

とうとう。

僕の中から彼女が消えた。

忘れられない。

つづきます。

忘れられない。

暑さに負けそうなそんな日々に、今青春をゆく高校生位の2人が、入道雲の真下を歩く様な感じを思っています。

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更新日
登録日
2016-08-19

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