藍色
その底に在るものの
ほんとうの形も分からずに
もしかしたら空の天辺に
真実は分断した細胞の中に?
居た堪れずに怯える
机と箪笥が、ぐるぐると宙を舞う
タイヤが雨道を滑る音を
ひとつひとつ、この部屋で聴いていて
夜の帳が藍色を引き摺って来るのを
じっと見ている
すべての歩道橋と青信号を
ひとつひとつ、ミキサーにかけてきて
人っ子ひとりいなくなった藍色の道を
じっと見ている
誰にも見せたことのない僕を
ひとつひとつ、何処かに落としてみて
ビーカーの中で藍色が飽和してゆくのを
じっと見ている
原っぱを藍色で塗り潰して
カーテンを藍色に染めて
藍色の風は踊らない
すべてがそこに停滞するのを
じっと見ている
藍色