藍色

藍色

その底に在るものの
ほんとうの形も分からずに
もしかしたら空の天辺に
真実は分断した細胞の中に?
居た堪れずに怯える
机と箪笥が、ぐるぐると宙を舞う

タイヤが雨道を滑る音を
ひとつひとつ、この部屋で聴いていて
夜の帳が藍色を引き摺って来るのを
じっと見ている

すべての歩道橋と青信号を
ひとつひとつ、ミキサーにかけてきて
人っ子ひとりいなくなった藍色の道を
じっと見ている

誰にも見せたことのない僕を
ひとつひとつ、何処かに落としてみて
ビーカーの中で藍色が飽和してゆくのを
じっと見ている

原っぱを藍色で塗り潰して
カーテンを藍色に染めて
藍色の風は踊らない
すべてがそこに停滞するのを
じっと見ている

藍色

藍色

  • 自由詩
  • 掌編
  • ホラー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-16

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