バナナの件についての感想

あれあれ、あのバナナの件。

ああ、バナナが食べられなくなるのか。私は感慨深く思った。

ふむ、バナナが、食べられなくなる。

なんちゃらいう不治の伝染病のせいで、あの食卓に並んで久しいバナナが、戦前のごとく食べられなくなると聞き、私は目の前のバナナをじろーりと眺めた。
一口食べられたそれは甘口もったりとして、丁度良い食べごろである。

「おやつちょーだい」
「バナナ食べえ」

昔、おやつがネタ切れになると、決まって言われるこの文句に私はむくれ、半ばバナナなんて、と思っていた。正直なところ、クレープかパフェに入っているとき以外はあまり口にしたいと思わない。

しかし、クレープやパフェをあそこまで美味に仕上げるということは、バナナとは斯くして偉大なる存在であるかもしれないぞ、と私は思いなおし、今回食べられなくなる前に、と、バナナを食した次第である。

あのニュースが流れてから、明らかに母のバナナを買ってくる頻度は増え、毎日二本はバナナを食している。
うーむ、これは、由々しき時代。

現状では、どこかの誰かが株で儲け、どこかの誰かが圧倒的にバナナを売りさばいているだろう。南の国では案外バナナバブルが起きているかもしれない。
要するにこれはただのバナナ談義であるが、このままバナナを見捨てるわけにはいかない。

バナナよ、私は何もしてやれないが、何とかして永遠なれ、と私は今日もバナナを消費する。
むちゃむちゃと食べるバナナが最近、妙にありがたく美味しい。

人間とは罪な生き物だ。
私は自分を顧みて、強くそう思った。

バナナの件についての感想

面白く呟きたく思い。

バナナの件についての感想

バナナ食べられなくなるんだってよ。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-13

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