アリスの小指
不思議な彼女との約束。
「約束だからね」そう言って、彼女は小指を絡めた。
アリスがあんな変わった話をするようになって、僕は「なんてへんてこりんな女の子になったんだろう」と最初鼻白んだものだったが、聞けば聞くほど、彼女の話は魅力的であることに気づき、「物語とは、常に我々の傍にいる友である」と一つの感慨を得たのをきっかけに、僕は彼女の話を書き留めることにした。
おしゃべりする花たち、ハートの女王、シャムネコに帽子屋のお茶会。聞けば聞くほど奇天烈だが、彼女の天性の無邪気さが表れており、とても僕は興味を引かれた。
「いつか本にしてね、約束だからね」
そう彼女が小指を絡めたのに、ぽっと赤くなったのは今はもう昔の話である。
アリスはどこでどうしてるだろう。
僕が彼女が木の根元で眠っていたのを、眺めていたのは秘密の話。
「秘密だよ」
僕はそんな意味も込めて、子供たちと楽しくアリスの話をしては、小指を絡める。
アリス、今日も君は大人気だよ。
そんなことを月に向かって語り掛けた、ある日の夜。
アリスの小指
思いついたので。