潔よきこと

紗衣さんは、理想の生き方をしている。

紗衣さんは、潔い。

紗衣さんは、潔い。

大概のことは笑って済ませてしまうし、悩みがあっても「寝れば治る」。
怖いことがあっても、「私には健康な体がある。耳もいいし目も見える。声も出せるし手足もある。それがない人に比べたらどんなに恵まれていることか」と言って、割り切ってしまう。
紗衣さんと一緒にいると、元気になれる。この世の理を、みんな知ってしまっているのだ。

紗衣さんは、生き物を元気にするのが好きだ。
植物に水をあげ、魚に餌をやり、水槽の水を取り替え、犬を飼い、自分のことにはお金を使わない。

ただ髪型さえ綺麗であればいいと、毎月カットに行く程度。
今日も玄関の掃除をして、「顔が見えないのが病気の元」と、近所に挨拶をして回っている。

紗衣さんは、元気の塊。
今日もアプリゲームをしながら、私を見て「おはよー」と挨拶してきた。
紗衣さんには、敵わないな。

そう思ったが、口には出さずに通り過ぎる。
あなたのお陰で、今日も元気でいられます。
心の中でそう礼をする。

紗衣さんは、今日も元気。

潔よきこと

要するに、大ざっぱな人。

潔よきこと

紗衣さんは今日も元気。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-12

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