星空の記憶
星が降る海辺の小舟
波に揺れ、眠らせて
月が照らす波が、
砂を削る。
何処から現れる?
波の音に掻き消されて
近づく気配もない。
ここに、その姿を見せてくれ。
君は、待ち望んでいたものかい?
炎に溶ける氷のように、
僕の過去を掘り起こしてくれるのか。
いまでは、何も持っていない。
何も必要ではない。
その姿を見るだけが望みだ。
何千年も、待ち望んでいたのかい。
君の記憶の中のみに住まう。
ならば、思い出させておくれ。
いまや、記憶が溶け始め、
波にさらわれて行きそうだ。
早く小舟を押し出してくれ。
もはや、あの星こそが、君だったのか?
もはや、二度と。
星空の記憶