愛の薬
【登場人物】
一ノ瀬 武臣(36)
会社の社長。紳士的でエリート社長だが、傲慢なドS。愛し方も下手。気持ちを伝えることも下手。素直じゃない。しかし、何事にも一生懸命にやる。
一ノ瀬 雛子(23)
ある事がきっかけで、務めてる会社の社長と結婚することに。結婚後は専業主婦となる。
秘書
社長の秘書。社長の全般のお世話をする。
初めての看病、武臣の愛
夜、8時。武臣は仕事を終えて帰ってきた。
「ただいまー」
玄関開けてただいまと言うと、いつも雛子は玄関まで着て鞄を持ってくれる。けど、今日はそのお出迎えがない。
「なにしてんだ?あいつ」
足早にリビングへ行くと、ソファに顔を赤くして汗をかいた雛子が横になってるのを見つけた。
「おい!雛子!大丈夫か!?」
「・・・・・・・・・」
そう、声かけても何も反応がない。
おでこを触るととても暑いことに気づいた。
「っ・・・熱あるのか。風邪か?」
武臣はしばらく考えて、雛子を抱き抱え、寝室のベッドへ連れていった。
雛子をそっとベッドへおろし横にさせた。
「よ、よし!とりあえずココに寝かせた。で、どうしたらいいんだ・・・っ!」
こんな時、どうしたらいいのか分からない武臣は、秘書に電話をした。
・
・
・
【秘書と電話中】
「と、そう言う訳なんだ。こういう時はどうしたらいい?教えてくれ。」
「社長?落ち着いて下さいませ。今からどうしたらいいのかFAX差し上げます。落ち着いてその通りに看病をなさって下さいませ。」
「あぁ、わかった。頼む」
・
・
・
電話を切って4分、秘書からFAXが届いた。
そのFAXにはこう書いてあった。
今夜やる事
①体温を測る。(22時、0時、6時)
②37.5℃以上なら頭を冷やす。38.5℃以上なら、頭と両脇を冷やす。
③起きた時、水分を飲ませる。
・・・あとは社長の愛で、熱を吹き飛ばして下さいませ〜♡
「はっ・・・朝までコースかよ。愛でって・・・」
ブツブツいいながらも、体温計を手に取り、測りに行く。
ガチャ・・・
雛子が寝てるベッドへ近づき、ベッドの端へ軽く座り、起こさないように小さい声で声かけた。
「雛子、熱測るぞ。ちょっとごめんな」
そう言うと、体温計を取り、脇の下へ挟む。軽く手で腕を抑え、そのまま雛子をジーッと見つめていた。
「ホントに寝顔もカワイイな」
ピピッピピッピピッ
体温計のアラームが鳴った。
「あ、終わったのか。いくつだ〜?」
起こさないようにそっと体温計取る。
体温計には
39.8℃
と、表示されていた。
「39.8℃〜!?高熱かよ〜!」
思わず大声を出してしまった。
「・・・んーっ」
雛子は武臣の声で目を覚ましてしまった。
「武臣・・・?」
「あぁ、起こしちゃって悪い。大丈夫か?」
「ん・・・私どうしちゃったの?」
「帰ってきたら、ソファで横になってて。お前熱あるんだぞ。秘書に看病の仕方聞いたから今こうしてやってるんだ。頭と脇の下冷やすぞ」
「そう・・・だったんだ。面倒かけてごめんね、武臣。」
「夫婦なんだ、面倒かけられても嫌じゃない。病人は黙って言うこと聞いてろ」
「そんな言い方〜・・・もう!」
「ほら、うるさいぞ。黙っとけ。おでこ冷やして、脇の下に氷の袋いらるから」
そう言うと、両脇に氷袋をタオルで包んで入れて、おでこには冷たく冷やしたタオルを置いた。
「よし、これで様子見よう。」
武臣は優しく笑いかけた。
「ありがとう、武臣。でも、もう大丈夫。看病してもらったら武臣に風邪移しちゃう・・・自分の事はちゃんと出来るから、武臣はもう寝て?」
雛子は少し身を起こしてそう言った。
「・・・お前の風邪、俺がもらってやろうか?」
「えっ?」
「この前、俺が風邪に引いた時、お前も看病してくれたよな。本当に助かったよ。だから、今度は俺がお前の看病をする番だろ?秘書にも教えてもらった。俺にも出来る。」
「でも・・・また武臣が風邪引いたら・・・」
「うるさいなー、俺が看病するって言ってるんだ、黙って言うこと聞いてろ。とりあえず・・・こうしとくか?」
そう言うと、雛子に近づき顔を寄せていく。
「ちょっ・・・ダメだよっ!」
雛子は両手で、自分の顔を覆う。
「いいからジッとしてろ!」
そう言うと武臣は雛子の両手をどかして、また顔を寄せていく。
また少しまた少しと、少しずつ顔が近づいていき、2人はジーッと見つめ合う。
熱がある雛子の熱い体温が、武臣へも伝わる。
そして、2人の唇は重ね合い、武臣の唇が優しく雛子の上唇を包み込む。
「んっ・・・」
「もっと、もっと風邪移せ」
そう言うと武臣はまたキスをした。
・
・
・
「雛子、汗をかくと熱が下がると聞いた。いっぱい汗をかくこと、するか?笑」
「武臣・・・そんな体力ないよ。でも、ぎゅっと抱きしめててくれる?そのまま一緒に・・・寝たい」
「ふっ、カワイイ奥さんの頼みならNOとは言えないな!お望み通りにしてやるよ」
武臣はベッドへ入り、雛子を腕枕してそのまま抱きしめて、一緒に寝た。
〜end〜
愛の薬