日常⇔非日常 ①
普通の、誰にでもあるような、そんな日常。
そんな日がずっと続く・・・とは限らない。のかもしれない。
これは、そんな日常と非日常を描いた話。なのかもしれない。
4/25 8:12
ある、いつもの、ごく普通の朝。
今年、中3になった私、高崎凛音はいつものように洗面所で顔を洗っていた。
そこに、私と2つ年が離れた、兄である高崎優が登場。
「凛音、俺の携帯知らない?」
「は、何で私が知ってると思ったの?」
私と兄の関係はこんなカンジである。
私と滅多に話さない兄の、携帯の居場所を知っているはずがない。
(・・・自分で言うのも何だけど、[反抗期]ってやつなんだと思う。)
「・・・まぁそうだよな。悪い悪い。」
そう言って兄は洗面所を出て行く。
兄とはわけあって2人暮らし。・・・と言っても、その[わけ]は、私も詳しくは知らなかったりする。
兄は「母さんたちは旅行好きで、色んなとこ旅してんだよー」的なことを言っていたが、何回聞いても、どこに行ったか教えてくれない。
少し前に、「死んだの?」と聞いたら、なぜか腹を抱えて笑い出した。
意味がわからない。
・・・と、兄が洗面所のドアを閉めた瞬間、ヴーヴーと妙な音が聞こえてきた。その音の正体を知るべく、音のするほうへ頭を向ける。
・・・その音の正体は、兄の携帯だった。(多分)
普通ならここで、「あったよ」などと言って兄に渡しに行くのだろうが、面倒くさい(というか正直、少し恥ずかしい)ので、放っておいた。
もう一度言うが、私と兄の関係はこんなカンジである。
◎◎
「おっはよーっ!!」
朝の通学路、東京タワーからスカイツリーに叫んでも聞こえるんじゃないか、くらいの大声で朝の挨拶をしてきたのは、小学生のころからの親友、三谷美夏だった。
「あぁ、おはよう。」
相手が大声で挨拶をしてきたからといって、自分も大声で挨拶をする、なんてことはない。
・・・当たり前だけど。
「あっれー、なんか今日りっちゃん元気なくない?」
そっちが元気すぎるだけじゃ・・・?
美夏は私のことを『りっちゃん』と呼ぶ。
最初は『りんたん』、→『りーたん』→『りーちゃん』→『りんごちゃん』→『りっちゃん』である。(たしか)
「んー、そうかな?」
とか言って、本当は昨日、夜遅くまで中間テストに向け、勉強してたりする。
「そうだよぉ。ホントは中間テストに向けて、テス勉頑張ってたんじゃないのー?」
「・・・鋭い!」
なんていう、ごく普通の会話をしているうちに学校に着いた。
私が通っている学校、川谷中学校はもう〈普通〉しか当てはまらないくらい普通の学校である。
恐らく、この学校にいる大抵の人は、初見の時「普通だなぁ」と思ったことだろう。
キーンコーンカーン・・・
1時間目の授業が始まる、チャイムが鳴る。
「やばい!チャイム鳴ったじゃん!急ご!」
1時間目は数学。得意教科だった。
2時間目は地理、3時間目は体育、4時間目は国語、偶然にも全て、得意教科だった。
「なんか今日はツイてるな・・・♪」
なんてことを言っている5時間目の数学。(この日は数学が2回あった。)
ドォーン・・・・
教室内が急に騒がしくなり、全員が立ち上がる。
何が起こったのかと、教室の皆は音がした窓の外を見る。
・・・数十メートルほど先だろうか。
そこには、信じられないほどの炎が上がっていた。
最初は火事か何かかと思った。だがその炎は2秒ほどでパッと消えた。
教室内はさらに騒がしくなる。
美夏に至っては叫んで━━
・・・と、思いきや、美夏は何も喋らず、じっと炎が上がった場所を見ていた。
「(美香が黙るなんて珍しい・・・。)」
教室の皆はまだ外を見ているが、私はあんまり興味がなかった。
・・・夜中のテスト勉強の疲れだろうか。なんとなく座っていたかった。
・・・と、自分の椅子に座ろうとした瞬間・・・。
窓の外に信じられないものを見た。
・・・兄がいた。
先ほど炎が上がったすぐ真下に、兄の高崎優の姿があったのだ。
・・・嫌な予感しかしなかった。
「ツイてないな・・・」
○1 日常→非日常 ○
日常⇔非日常 ①
ものすげぇ厨2病乙な小説になってます。(今回はそうでもないですが)
そして短いです。
多分、続きます。