雨、のち曇り

小さな出会い。

君は、あの後泣いたのか。そう僕は曇り空を見て思った。

君を見かけたのは、7月の終わりごろ。

友達二人に追い込まれて、君は必死に抗っていた。
「やーい、馬鹿!」
「失せろー、タコ!」

君は先を行きながら、追いかけてくる二人に何か言い返しては、振り返らずに走っていた。

ああ、あんな子たちが、あの後学校やなんかで仲直りして、案外高校では付き合わずに大人になるんだよな。

そう僕は思いながら、一人コンビニへと歩いた。
夏の最中、人恋しくなると、とりあえず出かける。
大体コンビニ。スーパーの方が当たりは柔らかいけれど、得る感触は柔い。

今月分は家に回す、そう母と約束しているので、給料が出ても金はない。
とりあえず、ガリガリくんとうまい棒コーンポタージュを買い、並んだら女の子がアイスを落とした。
「取り替えましょうか?」
いえいえ、それで結構です。

ほら、こんな小さなところでも、当たり障りが。

小さな君は知らないだろうが、こんなことは当たり前に世の中に散らばっていて、それはもう、どうしようもないのだ。
僕は帰って、ガリガリくんに噛みつきながら、音楽を聴こうとアイフォンを手にした。

雨雲がゴロゴロと鳴った。

雨、のち曇り

今日の感想。

雨、のち曇り

幼い火種が、いつか花火になって。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-11

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